中国政府は209品目の輸出製品に対する増値税(付加価値税)の還付を削減する。太陽光パネルやリチウムイオン電池の還付率を13%から9%に引き下げ、銅材やアルミ材などについては還付を中止する。中国財政省(日本の財務省に相当)と国家税務総局が11月15日に発表した。
今回の措置は12月1日から実施され、対象製品の輸出価格は上昇が見込まれる。その狙いはどこにあるのか。
「中国の国内産業が過剰な生産能力を抱える中、(不当廉売などの)国内問題が海外市場に波及するのを防ぐことだ。輸出価格を押し上げ、国内価格の正常化を促すと同時に、国際貿易における(外国から中国への)非難を和らげなければならない」。財新記者の取材に応じた複数の専門家は、そうコメントした。
(訳注:増値税は日本の消費税に相当する付加価値税で、標準税率は13%。商品を輸出する際には一部が還付されるが、品目によって還付率が異なる)
赤字輸出への非難に配慮
太陽光パネルやリチウムイオン電池の業界では、多くの中国メーカーが国内需要を大幅に上回る生産能力を抱え、輸出拡大を競っている。増値税の還付率縮小により、中国企業が海外市場で秩序ある競争を行い、市場シェア獲得のために赤字販売など(の不当行為)に手を染めないよう促す効果が期待される。
「中国国内の産業に対する(中国政府の)優遇政策が、(国内の過剰生産能力を生み出し、そのはけ口として)海外市場での過当競争につながっている状況は、輸出先の国々の理解を得られない」
太陽光発電関連の業界団体の専門家は、財新記者の取材に対してそう前置きしたうえで、増値税の還付率縮小について次のようにコメントした。
「優遇政策の本来の目的は、中国製品の競争力を育成、強化することにある。中国の太陽光発電関連製品はすでに(十分な)国際競争力を備えており、増値税の還付によるサポートはもはや不要だ」
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