「寄り添う上司が壊れる」管理職を襲う"共感疲労"――意外と知られていない心理的安全性の本質。自分を守るための3つの境界線とは
「新入社員が『この仕事は自分がやりたいことではない』と、配属3カ月で異動を希望してきたんです。1時間かけて話を聞き、すぐに異動するのは難しいと会社の事情も説明しました。でも翌週『やっぱりつらいです』と言ってきました」
佐藤氏は再び、部下の悩みを聞きました。しかし、話は堂々巡り。部下は「どうしてもモチベーションが上がりません」と訴え、ついに頭痛が頻発すると言って休むようになりました。
佐藤氏は人事に相談しましたが、「すぐに異動させるのは難しいので、モチベーションを上げるよう指導してください」と言われて終わり。板挟みになった佐藤氏は、週末も部下のことを考え続け、眠れない夜が増えているそうです。
「心理的安全性」の旗印のもと、部下のさまざまなネガティブ感情を「受け止めなければならない」と思い込まされた管理職は、「優しさ」と「甘やかし」の区別がつかなくなっています。そして「部下を不快にさせないためのサービス業」を強いられているのです。
これこそまさしく感情労働です。過度な感情労働は「共感疲労」 を引き起こします。共感疲労とは、相手に寄り添いすぎることで自分自身が疲弊する状態を指します。
佐藤氏は、「部下の悩みを何とかしてあげたい。けれど自分は無力だ」と感じ、消耗していたのです。
さらに問題なのは、管理職自身に相談できる場所が少ないこと。誰にも相談できず、助けてもらえず、佐藤氏のように1人で抱え込んでいる人が非常に多いのです。
管理職が自分を守る3つの境界線
では、管理職が自分を守りながら心理的安全性を実現するには、どうすればよいのでしょうか。
まずは、心理的安全性の本当の意味を理解することです。心理的安全性とは「何でも言っていい」ことではなく、健全な議論ができる場を作るということだと肝に銘じることです。
そして、発言には責任も伴うのだということを、自身にも部下にもしっかり伝えることが大事です。言いたいことを言えるが、やるべきことはやる。これが健全な心理的安全性なのです。
そのうえで、3つの境界線を引くことが、とても大切です。


















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