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「寄り添う上司が壊れる」管理職を襲う"共感疲労"――意外と知られていない心理的安全性の本質。自分を守るための3つの境界線とは

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  • 船見 敏子 公認心理師、産業カウンセラー、1級キャリアコンサルティング技能士
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心理的安全性は、耳に心地よく理想的な言葉です。しかし、海外で生まれたこの概念が日本の職場で正しく理解されているかというと、必ずしもそうではないようです。

言葉が独り歩きした結果、苦しんでいるのは前述した田中氏のような管理職なのです。

前回の記事「『昇進8カ月で鬱病』管理職を襲う"感情労働"のリアル」では、今の管理職の働き方は「感情労働」で、それが彼らの疲弊を加速させているという実態を紹介しました。

今回は、心理的安全性と感情労働との関係、そして管理職が自分を守るために何が必要かを探っていきます。

そもそも「心理的安全性」とは?

心理的安全性とは、組織行動学者のエイミー・エドモンドソンが提唱した概念で、「チームの中で、対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だという、チームメンバーに共有される信念のこと」と定義されています。

つまり、「衝突を恐れずに、言うべきことを発言できる」状態を表します。生産性が高いチームの共通点とGoogleが発表して以来、日本でも注目を集めるようになりました。

理論としてはとても重要です。しかし、この概念が生まれたアメリカと日本には、コミュニケーションの流儀に大きな隔たりがあります。

自己主張の仕方を子どもの頃から教育されるアメリカと、空気を読む重要性を周囲の大人たちを見て学ぶ日本。そもそもの国民性が異なるのですから、そのままそっくり取り入れようとすること自体に無理があります。

日本の企業で行われる2時間程度の「心理的安全性研修」は、「部下の話を傾聴しましょう」「否定せず受け止めましょう」「1on1を増やしましょう」と伝えるだけで終わることも多いようです。

本来の概念を浸透させるには、対話や議論の技術を学ぶべきですが、それを教わる機会はあまりありません。

結果的に管理職は「心理的に安全=部下に優しくすること」と誤解し、現場に戻っていきます。そして田中氏のように、自分の感情を押し殺しながら部下の気持ちに寄り添うしかないと思ってしまうのです。

IT企業で課長を務める佐藤氏(仮名、38歳)も、職場で心理的安全性研修を受けた1人。部下の話を聞くことが重要だと学び、月に2回、部下との1on1面談を行っていますが、最近、困った事態が生じているといいます。

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【部下の訴えを聞き続け不眠に】

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