地方銀行のよさは、地元企業を応援することができるし、その結果もよく見えることでしょう。そこに地銀マンの生きがいがあります。若い人で、地域経済や地元の人たちと苦楽を共にしたい気持ちがあれば、地銀へ入ることを勧めます。
北洋に対し「元は相互銀行じゃないか」と見下すような雰囲気が以前はありました。でも今では皆が大事にしてくれる。ありがたいことです。ただ、地元経済の先行きについてはとても心配しています。農業はどうなってしまうのか。公共事業も減っています。円高が続けば企業誘致も難しい。
北海道経済はかつて、「ジャンボ機の後輪」に例えられた時期がありました。景気回復時には最後に離陸し、逆に下降時には最初に着地する。しかし、それは景気循環が前提。実態はすでに違って、長い期間、低空飛行が続いています。
北海道の学力は全国で最低レベル
これから北海道経済の牽引役と期待されているのが食と観光です。新幹線の札幌延伸は観光にプラス。食の分野では国の特区認定を受けました。今後、中長期ビジョンを作って具体化しなければなりません。
プロジェクト策定には企業家の養成が必要です。その際、ネックになるのが教育。北海道の場合、小・中学生の学力が全国で最低レベルなのです。教育のレベルを引き上げなければ、創意工夫は出てこない。国際化も進められなくなります。
近年は経済界の立場から北海道庁などに苦情を言い続けてきました。奨学金を出して教育大に優秀な学生を集めるよう提言したり、学力向上に関心を持ってもらおうと講演に奔走したりしています。幸い、道庁の取り組みも変わってきました。教育長は、目標年を定め教育水準を全国標準に引き上げると言っています。
これまでにかかわった地元経済界の運動で大成功したのは、「北海道のコメを道民が食べましょう」というキャンペーンです。道産米はまずいと思われていましたが、実はおいしいんだとアピールし、かなり地産地消が進んでいます。コメ消費で道外に流れていたおカネが地元に落ちるようになりました。次は酒とワインの領域でも「道産酒愛飲運動」をやろうと考えています。
経済界のリーダーのひとりとしてやるべきことがたくさんあります。正直、荷が重いと思うときもあります。しかし、後輩に引き継いでおきたい気持ちは強い。そのためか、最近は人と話していても「これは俺の遺言だからよく聞け」などと言葉が乱暴になってきましたよ(笑)。
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