《ミドルのための実践的戦略思考》「規模の経済」で読み解く食品容器メーカーの資材調達担当課長・伊藤の悩み

■理論の概説:規模の経済

「規模の経済」という言葉は、ビジネスの現場にいる方であればいずれかの場面で必ず耳にしたことがあると思います。「事業規模が大きければ単位当たりのコストが下がる」、ということであり、概念的に理解はしやすい言葉です。それがゆえに、私が教えている経営大学院のクラスにおいても、「規模を獲得するために合併すべきだ」とか「A社の方が規模の経済が効くためにコスト優位性がある」といった言葉がよく聞かれます。

しかし、その言葉が本当に意味するところや、そのメカニズム、はたまた留意点などを正しく理解している人は残念ながらそれほど多くはありません。それがクラスであればまだいいのですが、実際のビジネスの現場において、概念を正しく理解しないまま意思決定をするようなことがあれば、道を誤る可能性もあります。例えば規模が効く事業特性かどうかといったことは、経営の意思決定と結果を大きく左右する要素だからです。コンサルタントが知るほど仔細な知識が必要とは言いませんが、基本的な概念ぐらいは広く現場で活用するため、正しく理解しておきたいものです。 まず、「規模が効く」、もしくは「規模の経済性がある」ということは、生産量が増えるに従って生産量当たりのコストが下がる、という状態を指します。どれくらい規模が効くか、ということの程度を表す際に、「80%曲線のスケールカーブを描く」というような表現が使われますが、これは「生産量が倍になった時、コストが80%になる(20%コストダウンする)」ということを表したものです。

では、どういう時に、生産量が増えるとコストが下がるのでしょうか。これを理解するために、まず事業のコスト構造を「固定費」と「変動費」に分けて考える必要があります。固定費とは、例えば本社費用など、生産量がどれだけ増えようが変わらないコスト項目であり、変動費とは、原材料費など、生産量に比例して変わるコスト項目のことです。

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