「日本に貢献する研究者を手放していいのか」 京大院留学生が語る、高市政権下で《中国からの優秀な学生の"日本脱出"》が加速するワケ

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留学生は増やしたいのに、留学生への支援は削る。こうした政策は誰の目にもちぐはぐに映るのではないだろうか。ここで高市政権によって外国人政策が強化されると、トップレベルの大学院で研究している外国人留学生の進路に大きな影響を与える可能性がある。こうした状況にAさんは疑問を呈する。

留学生「日本のためと思って研究している」

Aさんの専攻は認知心理学。人の認知行動の実験を行い、データをとって分析している。人が限られた情報の中でどのように選択を行うのかをテーマに、意思決定過程における記憶の探索と視覚の探索との相互作用を実験的に研究してきた。

この研究は単なる実験室内の認知モデルにとどまらない。情報が過剰で、感情的な発言が目にとまりやすい現代社会において、排外主義的な言説やヘイトがどのように受け取られ、再生産されうるのかを検討する際の基礎的な手がかりになり、ひいては日本の社会のためにもなるとAさんは考えている。

「大学や研究の場にいろいろな国籍の方がいるのは世界的にも当たり前で、多様性は大事です。東京大学や京都大学に多様性が確保されるのは、日本にとってはいいことですよね。日本で研究している中国人も、評価の高い論文の共著者に名を連ねるなど実績を出しています。

中国人留学生の中には、日本に残って、日本で就職して、今後も生活していきたいと考える人がたくさんいます。そういう人たちは、本当にまじめに勉強していて、日本のためと思って研究しているのです。日本の立場で考えると、日本に貢献する研究者を手放していいのかと疑問を感じます」

日本の大学院における留学生数は、コロナ禍が明けた2023年以降増加を続けてきた。しかし、2026年以降、日本での博士課程進学を断念したAさんのように、大学院に進学する時点で日本を離れる人が増えるのではないだろうか。

【参考資料】
令和7年度学校基本調査確定値
東京大学2025年11月1日現在
京都大学2024年5月1日現在

田中 圭太郎 ジャーナリスト・ライター

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たなか けいたろう / Keitaro Tanaka

1973年生まれ。1997年、早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年からフリーランスとして独立。雑誌やWebメディアで大学、教育、経済、パラスポーツ、大相撲など幅広いテーマで執筆。著書『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)、『ルポ 大学崩壊』(筑摩書房)。

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