「昇進おめでとう」「ありがとうございます。頑張ります」→1週間後、彼は辞表を出し…「昇進は罰ゲーム」将来有望の30代社員が辞職を決断したワケ

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本来、昇進の前に共有されるべきなのは、役割が変わることで「面白さや、やりがいの軸がどこへ移っていくのか」という視座の転換です。

これが行われないままでは、リーダーの仕事は「魅力」ではなく、「負担」として受け取られてしまいます。逆に言えば、この視座の違いが事前に整理され、言葉として共有されていれば、昇進は「押し付けられるもの」ではなく、「新しい挑戦を自ら選べる選択肢」として機能し始めます。

もちろん近年は、プレイング・マネジャーとして、プレイヤーとリーダーの両方を担う役割が増え、難易度が上がっているのも事実です。しかし、視座の違いが理解されていれば、プレイヤーの延長線で消耗するのではなく、徐々に視座を引き上げながら、リーダーとして成長していく道を描くことは十分に可能なのです。

辞表は、ある日突然出されるものではない

社員の辞表は、衝動で出されるものではありません。それは、本人の中で静かに積み重ねられてきた判断が、ある日、表に現れた結果です。

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今回の30代社員も、昇進そのものを拒んだわけではありません。会社に強い不満があったわけでも、リーダーという役割を頭ごなしに否定していたわけでもない。彼が下したのは、自分に見えている情報だけを材料にした、極めて合理的な結論でした。

日々の現場で目にしてきた管理職の姿。忙しそうで、判断を一手に引き受け、余裕がなく、誰にも頼れないように見える背中。彼はそれらを一つひとつ拾い集めながら、心の中で、繰り返し問い続けていたはずです。この役割を引き受けた先に、自分はどうなるのか。

そして、その問いに、「引き受けた先に、自分の明るい未来はない」。そう結論づけた瞬間、辞表はすでに完成していたのです。重要なのは、そのイメージが正しかったかどうかではありません。そのイメージ以外の見え方が、彼の中に存在しなかったことです。

もし、その役割の意味や、仕事の面白さが、日常の中で少しずつ言語化されていたなら。もし、「別の見え方」が、事前に示されていたなら。「退職」という結論に至らなかった可能性は、十分にあったはずです。辞表が出てから理由を探しても、答えは見つかりません。答えはいつも、もっと前にあります。

今、あなたの会社で、「リーダーになる」という選択は、祝福でしょうか。それとも、静かに始まる罰ゲームでしょうか。その問いに、胸を張って答えられるかどうか。そこに、これからの組織の未来がかかっています。

安東 邦彦 株式会社ブレインマークス代表取締役

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あんどう くにひこ / Kunihiko Ando

1970年大阪府生まれ。ITベンチャーの取締役を経て、2001年に中小企業向けのマーケティング支援を行う株式会社ブレインマークスを設立。
売上は伸びたものの、行き着いた先は、社長の孤立、賃上げ交渉、ギスギスした職場。何とか良い組織にしたいと試行錯誤を繰り返すが、組織構築と崩壊を繰り返す。ついには社員ストライキにより、社員が次々と退職。

その後、世界的コンサルタント、マイケルE.ガーバーと出会う。渡米して、「社長依存型の組織を脱却し、自走する組織をつくる」方法を学び、実践した結果、組織が生まれ変わる。

現在は、その経験と米国メソッドをもとに社員30人以下の中小・ベンチャー企業に『社長が不在でも事業を拡大する仕組みづくり』を支援し続け、現在までに個別での支援した企業は約200社、主催する経営塾の卒業生は1000社を超える。中小・ベンチャー企業の事業拡大に特化した実践的な講演で、経営者団体、金融機関、保険会社などからの講演依頼は年間50回を超え。

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