奨学金576万円を借り､バイクローンに手を出し､バイトはしない…名門大学に進んだ男性が語る｢僕が多重債務者になるまで｣

こうして奨学金を借りて大学進学を決意。九州にいても何も変わらないと思った関根さんは、東京の国立大学への進学を希望。進学塾にも通ったものの、現役ではカスりもしなかった。

しかし、諦めきれない関根さんは、福岡県にある「北予備（北九州予備校）」という厳しい予備校に入る。翌年も国立大学は無理だったが、都内の名門私立大学に合格することができた。

バイトはせず、奨学金月12万円でやりくり

さすがに大学に受かったため、父親も学費を出してくれることになった。ただ、「若いときの苦労は買ってでもしたほうがいい」という教育方針により、家賃・光熱費・生活費は関根さん自身で賄うことになった。

そこで、第二種奨学金（有利子）を限度額の月12万円借りた。4年間で計576万円になる。

「第一種奨学金（無利子）も申請しましたが、落ちてしまいました。親の年収は決して低くはないし、成績もずば抜けて良いわけではないですからね。それに、大学生という4年間はとても短い。アルバイトなんてしていたらもったいないと思って、限界まで借りました。“4年間遊ばずに、卒業後はちゃんといい会社に入る”という気持ちもありました」

関根さんも父親も極端な考え方だが、同じ頃、弟は高専に進学。成績上位4分の1に入って学費免除を受けられたため、関根さんも感化され「自力でなんとかしたい」という思いが芽生えていたという。

こうして上京した関根さんが住んだのは、家賃5万円のアパート。当初は3万円台の物件も探していたが、「初手でその選択は後で後悔する」と周囲から止められた。

とはいえ、家賃で奨学金の半分近くが消え、残り7万円でやりくりする必要がある。ただ、入学金や教科書代など、大学でかかる初期費用はすべて両親が負担してくれた。

そこで関根さんはまず、免許合宿に通うことにした。

「バイクに乗りたかったんですよ。なんだかんだで、不良たちが乗っている原付に憧れていたのでしょうね。それに、東京は物価が高く、毎月の定期代もバカにならないと思ったため、電車で移動するのではなく、バイク中心の生活にしようと考えたのです」