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『ホタルノヒカリ』の作者、ひうらさとるさん(59)が明かす半生。「恋愛失敗・Wローンに追われた30代の暗黒期」から「名作誕生の裏側」まで

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  • 芳麗 コラムニスト
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――仕事も私生活も、八方ふさがりのような時期だった。

恋愛でも迷走していました。そろそろ結婚したいと思っても良いお相手もいない。自己肯定感も下がり気味になって。しかも当時、勢いあまって、都心にマンションを2軒も買っちゃって、ダブルローン状態。「あれ、利息しか払ってない?」と気づいて。

――現実的で戦略的なひうらさんでも、恋とお金には弱かったんですね。

全然、うまくいってなかったです(笑)。

マンションのローンに関しては、もう回していくのがつらくて、あるとき「マンションは2軒とも貸し出して、自分は安い賃貸に住めば返せるんじゃない?」と思いついて、思い切って引っ越すことにしました。

それまでは都心に住んでいたんですが、杉並区の閑静な住宅街に家賃が安い部屋を借りて、生活をゼロから立て直してみようと。その引っ越しが大正解で、結果、とても良い転機にもなりました。心身ともに迷走してボロボロだったけど、都会の喧騒から少し離れたら、気持ちも穏やかになっていて。

漫画のネームを描いたりしていると、塀を猫がサッと横切るのが窓から見えたりして、「なんか和むな」と。あのときに味わった“穏やかな幸福感”が『ホタルノヒカリ』の原点なんです。

穏やかな日々の心地よさを

――あの作品に“日常の心地よさ”を感じるのは、生活と作品がつながっていたからなんですね。

ああいう穏やかな日常の心地よさを描けるようになったのは、私自身がそれを心から楽しめるようになったからだと思います。

芳麗さんによる連載はこちら

――『ホタルノヒカリ』は、2度のドラマ化、映画化もされた大ヒット作です。そして、この作品がひうらさんの漫画家としてのさらなる開花のキッカケにもなりました。

あの迷走の時期がなければ、この作品にはたどりつけなかったと思います。物事っていきなりうまくいくわけじゃない。スランプだった時期に考えたり、チェレンジしたりしたことも、どこかで実にはなっていて、いざ、チャンスがきたときに活かされたりする。

私の場合、30代のトンネルを抜けてからが人生の本番ともいえるくらい、公私ともに大きく変化していったんですけど……。振り返ってみると、暗黒期も含めすべての経験のおかげで今があるなと思います(後編に続く)。

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