『ホタルノヒカリ』の作者、ひうらさとるさん(59)が明かす半生。「恋愛失敗・Wローンに追われた30代の暗黒期」から「名作誕生の裏側」まで

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今という時間は二度とないし、若さや勢いなど、その時々、自分が持っている時間やアドバンテージは使い切ろうという感じでしたね。

連載の数々(写真:ひうらさん提供)

アンケート最下位から学んだこと

――デビュー後、『なかよし』で本格的に連載が始まりました。高校生ながらプロとして活動してみていかがでしたか?

最初のうちは、読者アンケートも最下位ばかりでした。それでも担当さんが「やります」とゴリ押ししてくれて、何とか連載をもらえていました。

――現実は甘くなかった。

それでも心が折れずにいられたのは、やはり“職業意識”があったからだと思います。まずは“毎月、連載が取れればいい”。1本やり遂げたら、次の連載につなぐ。波があってもとにかくコツコツ続けて、締め切りを守って掲載してもらうことが大事。アンケート結果はあとからついてくればいい。それが当初の自分の目標でした。

最初から高みを目指すよりも、とにかく描き続ける。実際、経験を積んでいくことで、自分のスタイルや描くべきこともわかってきた気がします。

私は自分の描きたいものを描きながらも、そこだけを貫くのではなく、読者や時代が求めていることにも応えたいと思うタイプ。描き続けることで、その両方の力も鍛えられました。

――漫画家には珍しい性分では?

両方考えるのが、性に合ってたんです。

どんな職業でもそうでしょうが、自分に合ったやり方やペースがありますよね。私の同期の1人は『美少女戦士セーラームーン』の武内直子ちゃんなんですけど、もう圧倒的な才能、世界に羽ばたく才能じゃないですか。自分とはあまりにも違いすぎるから、コンプレックスなんて抱くこともなく、“人は人、自分は自分”なんだよなぁと。

――時代を彩る漫画家さんはあまたいますが、ひうらさんのように定期的にヒット作を出し続けている方は少ないです。時代が変化し続けるなか、商業誌で長く活躍されている秘訣は?

自己分析するに、おそらく危機管理能力の高さかなと(笑)。

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