「とんかつ市場」活況の裏に"味"の変化…? とんかつの「松のや」劇的スピードで爆増の舞台裏
今、とんかつの市場が熱い――。
とんかつのチェーンと言えば、「とんかつ和幸」「とんかつ新宿さぼてん」「とんかつ まい泉」のような古くからある専門店と、「かつや」や「松のや」のようなもっとお手頃な路線が存在する。
ちなみに、とんかつ新宿さぼてんは2001年から海外展開している。アジアを中心に118店舗を広げている(2025年11月現在)。
1998年にスタートしたかつやは2022年12月時点で450店舗を展開。2025年10月時点では503店舗ある。対して、2001年に前身である「チキン亭」をオープンした松のやは2025年4月に500店舗、11月末時点では577店舗(併設店含む)となった。
そのほか串カツ田中ホールディングスが「厚切りとんかつ 厚とん」を今年5月に、焼肉きんぐやゆず庵などを運営する物語コーポレーションが「熟成肉とんかつロース堂」を同2月にオープンし、とんかつ市場に参入している。
増えている理由
このようにとんかつのチェーンが増えている一つの理由が、コロナ禍だ。コロナ禍ではからあげが需要を伸ばした。テイクアウトやデリバリーに向き、そして家庭で作るには一手間必要だからだ。とんかつ人気も同じ理由で高まったと考えられる。
また、コロナ禍後にとんかつ人気を押し上げたのがインバウンドだ。寿司や天ぷらも人気が高いが、加えてラーメンやとんかつなど、日本の日常食にまで嗜好が広がってきているのだ。
こうしたとんかつ人気が背景にあるとはいえ、競合を圧倒する勢いで店舗数を伸ばしたのが松のやだ。今回は同チェーンに取材し、スピード展開の理由について探ってみた。(※メニューは取材時点)
松のやの店舗数の推移を追うと、2001年にスタート後、2017年までに100店舗へ成長。そして2021年には200店舗、2025年に500店舗となった。つまり2017年頃から、おおよそ5年ごとに倍増していることになる。
すでに説明したようにコロナ禍での需要の高まりも関係しているだろうが、もう一つ、松のやならではの要因がある。
他の業態とドッキングした「併設店舗」の存在だ。
今回、松のや、松屋、マイカリー食堂の3ブランドが合わさった明大前店を訪ね、松のやのスピード展開と、併設店舗の関係について探ってみた。



















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