「とんかつ市場」活況の裏に"味"の変化…? とんかつの「松のや」劇的スピードで爆増の舞台裏
松屋フーズ、松のや企画グループ チーフマネジャーの久保智寛氏は、店舗増加の背景について次のように説明する。
「松屋と松のや併設店の始まりは2020年の出店からだ。単独店と異なり、これまで出せなかった広いスペースも視野に入れられるので、立地を探しやすくなった。また当然ながら、単独の店舗よりも売上がいい。ビル内、郊外、ロードサイドさまざまな立地で、出店のチャンスが広がったといえる」
松のや500店舗中、併設店は306店(4月時点)。この割合からも、店舗増加に併設店が寄与していることがわかる。
客側から見た併設店のメリットもある。まずメニューの選択肢が増えること。「今日は牛めしにしようか、とんかつにしようか……」と思っていても、とりあえず店に入ってからじっくり悩むことができる。それぞれ食べたいものを食べられるので、ファミリーやグループの客も入りやすい。「日本の食をいろいろ食べてみたい」というインバウンドにも向きそうだ。
また、例えばロースかつカレーは、マイカリー食堂のカレーに松のやのとんかつがのっているという具合に、専門店の味がダブルで楽しめる贅沢さも魅力だ。
とんかつが美味しくなった・・・?
また久保氏は、松のやに限らず「とんかつがおいしくなった」ことも、とんかつチェーンが増えた理由として指摘する。
「揚げ物のメニューは家庭で再現しづらい。例えば当社のとんかつは、衣がサクサクして肉がジューシーなのが特徴。どこのチェーンでも、そういった外食ならではの商品を、その会社の特徴に合わせて、一定の品質で出せるようになった。例えばフライヤーの品質一つとっても、以前に比べ、向上していると感じる」
松のやでは、まずとんかつを店内で手仕込みしているところにおいしさの理由があるという。とくにパン粉をつける作業に関しては、パン粉づけの認定が存在するほど、しっかりと教育が行われている。フライヤーの技術進歩もあり、どの店舗でも同じ品質の商品を提供できるようになってきているのだ。
話を戻すと、併設店はメリットが多く、松のやにおいては成長の大きな理由になっている。しかしほかのチェーンで併設店を見たことはあまりない。これはなぜだろうか。
これは推測だが、オペレーション面の問題が関係しているのではないだろうか。



















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