「寝たきり」「要介護」「人工透析」を加速させる"危険な食べ方"→「シニアほど注意!」専門医が教える"腎臓"に一番悪い意外な落とし穴 

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私は、腎機能を元気によみがえらせていくための食事のノウハウを「腎臓復活食」と呼んでいます。

「腎臓リハビリ」では、このノウハウをできるだけスムーズに患者さんに身につけてもらえるように指導しているわけですが、「腎臓復活食」は正しい知識を得てコツや要領をつかんでいけばセルフケアでも十分に実践可能です。

ちなみに、「腎臓復活食」でカギとなるのは、「塩分」「糖質」「リン」「たんぱく質」の摂り方です。塩分摂取を控えれば、高血圧を防ぐことにつながりますし、糖質摂取を控えめにすれば、糖尿病の発症や進行を防ぐことにつながります。また、食品添加物を減らしてリンの過剰摂取を控えることは、腎臓のネフロンを守ることにつながりますし、たんぱく質の摂取を適量にすることは、老廃物の発生を抑制して腎臓の負担を減らすことにつながっていきます。

そして、これら4つの成分の摂り方を工夫していけば、腎機能の悪化を食い止めて、自力で腎機能を守っていくことができるのです。ただ、ここで具体的なノウハウを説明するには紙幅があまりに短すぎるので、「塩分」「糖質」「リン」「たんぱく質」の4つの成分のくわしい摂り方や工夫のポイントに関しては、それぞれ機会を改めて紹介していくことにしましょう。

「腎臓病食=つらくて苦しい」の時代は終わった

とにかく、いま、腎臓の医療は大きな転換期を迎えています。運動面での常識が「安静推奨」から「運動推奨」へ180度変わったのと同じように、食事面の常識も大きな変革のときを迎えているのです。

なかでも、いちばん大きく変わってきているのは、「腎臓が悪い人向けの食事のイメージ」ではないでしょうか。

私は、腎臓が悪い人向けの食事を本人やその家族がものすごく苦労してつくっていた時代はもう終わったと考えています。たとえ腎臓が悪くても、苦しい思いやつらい思いをすることなく、みんなと同じものをみんな同じようにおいしく食べられる――そういう方向へ急速に変わってきているのです。「腎臓リハビリ」の食事療法がその急速な変化を後押ししてきたわけですね。

ですから、みなさんも新しい常識を身につけて、「つらい」「苦しい」というイメージをリセットしてください。「腎臓復活食」を実践すれば、食事からのアプローチで腎機能を守っていくことができるのです。ぜひ、日々おいしく食べて、日々の食事を大いに楽しみながら、腎臓寿命を延ばしていくようにしましょう。

上月 正博 東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長

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こうづき まさひろ / Masahiro Kouzuki

医学博士。日本腎臓学会功労会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年、東北大学医学部卒業。東北大学大学院内部障害学分野教授、東北大学病院リハビリテーション部長、東北大学大学院障害科学専攻長、同先進統合腎臓科学教授を歴任。2022年より現職。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とする。2011~2021年日本腎臓リハビリテーション学会理事長、2020より国際腎臓リハビリテーション学会理事長。2018年には腎臓リハビリテーションの功績が認められ、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」、2022年には「日本腎臓財団功労賞」を受賞。

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