経済政策も同様だ。衆議院の予算委員会で、公明党の議員に、「年間5兆円あったらどうする?」と質問され、「自民党には怒られるかもしれませんけど今だったら例えば食料品の消費税軽減税率をずーっとゼロにするとか、今だったらですよ恒久財源があればですよ」、と言ってしまったのだ。しかも、にやつきながら、嬉しそうに。
こちらは、台湾有事ほどの問題になっていないが、政治的にも、問題にしようと思えばすぐになる。「防衛費を年間5兆円増加させることができるのであれば、それは継続的にやるのだから、財源あるってことですよね?」と言われてしまうからだ。
しかも、自民党という、自らが所属する組織は売り飛ばしている。「高市早苗は、国民のみなさんのために食料品消費税ゼロにしたいんだけど、自民党が許さないので」、と。高市内閣の支持率は80%超のところもあるが、自民党はせいぜい30%台だ。「自分さえよければいいのか」、と自民党からの不満もたまっていき、どこかで手のひら返すことが始まるシナリオを自ら招こうとしている。
高市首相に静かに反乱を始めた金融市場
政治の反乱にはまだ時間的猶予があるかもしれないが、金融市場はすでに静かに高市首相への反乱を始めている。
長期金利は着々と上昇し、10年物国債の金利は一時1.7%を超えた。金利の上昇にもかかわらず、円安が進み、一時1ドル=155円台をつけた。長期金利上昇と同時の為替下落。これはまさに静かな日本売りにほかならない。
金融市場が静かに動き始めているのは、市場が「やっぱり高市政権は『リフレ政権』であり、しかも、物価高、経済過熱(人手不足)、株価バブルの下で、180度逆方向のリフレ政策に突き進もうとしている」と受け止めているからだ。
これは本サイトで、みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏も指摘しているところである(「高市政権は『リフレ円安』にどこまで付き合えるか」、11月12日配信、有料会員限定)。
唐鎌氏は、いい人だから、「『高市首相とてリフレ政策と心中するつもりはあるまい』(そういった狂信的な識者の声が小さいことを祈るばかりだ)」と高市首相の変節を願っているのだが、彼も本音では気づいているように、変節はない。それどころか、悪化しそうである。
それは、ブレーンの顔ぶれを見れば一目瞭然だ。唐鎌氏は遠慮がちに以下のように指摘しているが(「新設される日本成長戦略本部や経済財政諮問会議の民間議員の顔ぶれを見る限り、少なくとも経済・金融系についてはかなり偏った思想性が鮮明である」「普段から金融緩和や拡張財政の有用性を執拗に説いてきた有識者をこぞって政策議論に招き入れていることも懸念事項である」)、まったくそのとおりである。



















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