やっぱり「高市首相の経済政策」はいずれ破綻、「成長戦略も絶対に失敗に終わる」と言える10の理由

✎ 1〜 ✎ 294 ✎ 295 ✎ 296 ✎ 297
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

第3に、これと類似しているが、政府がどんなに金(カネ)をつけても、旗を振っても、それを実践する主体は、企業であるが、その企業がいない。つまり、政府が立案した戦略的投資を成功裏に導ける企業、プレーヤーがいないからである。

政府がどんなに力んでも、高市首相が勇ましく吠えても、やるのは企業であり、それができる企業が日本にいないから、戦略的分野は、アメリカと中国の企業に支配されているのである。

日本政府がアルファベット(google)を買収するのであれば、できるかもしれないが、それはできないので、成功するわけがないのである。台湾の半導体製造受託最大手TSMCを熊本に誘致してきたように、政府が金を出して行うことと言えば、勝ち組を呼んでくるのがせいぜいなのである。実戦経験のある軍隊がいないまま、最新兵器を金で買ってきても、戦争には勝てないのと同じである。

選べず、任せられず、撤退も軌道修正も下手な日本

第4に、万が一、伸びる分野がわかっても、どの企業が勝つか、勝ち馬は誰か、それを見極めるのが重要であり、それは政府がいちばん苦手とするところである。とりわけ日本政府、日本社会は、公平主義なので、すべての企業に機会を与えるという立場だから、絶対無理である。アジアのほかの国のように、すべてこの財閥に任せる、この企業に独占を許す、ということができないのだから、見分けられたとしても無理だし、そもそもその目利きはまったくできない。

第5に、このような前提で投資をしてしまうと、途中で、勝ち馬でなかった、勝ち組企業でなかった、勝ち筋でなかった、この分野でなかった、というときに、柔軟に素早く、戦略を乗り換えることが先端分野では最重要であるが、日本全体でこれが苦手であり(職人魂であきらめずしつこく芽が出るまで頑張る)、日本政府においては絶望的である。

前述のように、マクロ経済政策でも、ブレーンが自分のポジション、主張、学派に固執する問題があるが、それ以上に、号令をかけて大臣が動き、官僚を動員し、組織とプロジェクトを立ち上げて、その見通しが悪くなったときに、引き揚げることが、日本政府にできたためしがない。各種の政府ファンドはすべて失敗している。

ファンドを立ち上げただけで満足しているのもあるが、軌道修正がまったくできない、という致命的な欠点が、日本にはあるし、政府にはさらに決定的にある。クールジャパンなど、政府が介入した瞬間に、すべて失敗してしまったが、それでもやめることができず、ファンドは赤字、損失を垂れ流し、恥ずかしいことに、いまだにクールジャパン担当大臣がいるのである。

次ページわれわれにできることは何か
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事