クマ問題に絡めて写真配置…宇多田ヒカルさん「本人の私でも騙されそうになったわ」。読者をミスリードに誘う《進化型コタツ記事》の脅威とは?

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最後に、今回の件をより深く理解するための豆知識を3つ紹介する。
①画像優位性効果
人間の脳は文字より画像を優先的に処理する。ジョン・メディナの『ブレイン・ルール』によると、72時間後でも画像関連情報は65%が記憶に残る(文字のみは10%)。古典的な研究でも、それに近い結果があるが、重要なことは映像には文字よりも強い印象が残るということだ。
②近接配置効果
物理的に近い要素は”関連性がある”と脳は自動的に認識しようとする。優先処理すべき写真に人は視線誘導され、その直後に周辺テキストを連続して読む。このため、画像とテキストが“異なるもの”と明確に区別されていなければ、「宇多田に関する情報」としてテキストを処理してしまう。
近接配置効果は古典的なゲシュタルト心理学でも扱われているものだが、前述の『ブレイン・ルール』では、画像優位性効果と組み合わせることで脳を騙すテクニックとして触れられている。
③確証バイアス
確証バイアスは、自分が信じている情報を強化する情報を優先し、否定する情報を後回しにする認知バイアスの一種だ。画像とテキストを結び付けた脳は「宇多田さんがクマについて発言した」という仮説を形成する。この仮説が確証バイアスとなり、宇多田さんが“クマ好き”である情報とも結び付けられ、匿名だったはずの過激発言が、宇多田さんの発言である証拠として受け入れられてしまう。
本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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