たとえば「宿題をやらない」という問題を考えてみましょう。親は「やるべきことをやらない」ことにイライラし、子どもは「何度も言われる」ことに反発を感じ、結果として、互いの言葉が届かなくなる。つまり、3本の糸が同時に絡まっているだけです。
親は「宿題をやってほしい」という期待を持ち、子どもは「うるさく言われたくない」という感情を抱き、その間で言葉のすれ違いが起こる。この構造を理解できれば、問題は驚くほどシンプルに見えてきます。複雑に見えた子育ての悩みも、実は同じパターンの繰り返しなのです。
子育ての「7つの原則」という地図
筆者は「子どもを育てる7つの原則」という考え方を提唱し、書籍も出しています。この7つの原則は、どんな家庭の悩みも「どの糸が絡まっているか」を見抜くための地図のようなものです。
① 正解はなく、試行錯誤の連続
② 行動を変える前に、心を変える
③ 親が変わることで、子どもが変わる
④上から目線ではなく、水平目線で関わる
⑤「どうすれば良くなるか」ではなく「どうすれば楽しくなるか」で考える
⑥短所を直すより長所を伸ばす
⑦命令ではなく、心を動かす
どんなに複雑に見える親子関係のトラブルでも、このうち3つ以内の原則の"絡み"で説明がつきます。
たとえば、次のような組み合わせで多くの問題が理解できます。
「親が正解を押しつけ、上から目線で関わっている」のは、原則①と④の絡みです。親は「これが正しい」と信じて子どもに接していますが、子どもからすれば押しつけられているように感じてしまいます。
「子どもを行動で変えようとして、心の変化を無視している」のは、原則②と③の絡みです。親は目に見える行動ばかりに目を向けがちですが、子どもの心が動いていなければ、本当の変化は起こりません。


















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