「この前ある年上の方に、『こんな家をつくっても、いつか結婚するんでしょ?その時どうするの?』って言われて。女性が家を買うと、まだそういう言葉が出てくるんですよね。
でも、私の周りの同世代はもう、結婚して子どもを持つっていう前提に立ってない人も多いです。私たちの世代にとっての“普通”は、もう変わってきてると思うんです。
私は自分はもちろん、他の人の“好き”も大事にしたくて。会社で家族や単身の方をはじめ、LGBTQカップルの方の家づくりをお手伝いすることもあるんですが、好きな人がいること自体が素晴らしいと思っています。だから、人やものを好きでいる自由を尊重したいです」
小野さんの“嫌いなもの”は、結婚そのものではない。他人の生き方を“こうあるべき”と裁く視線だ。それは、彼女が長い時間をかけて「自分の軸」を取り戻してきたからこそ、敏感に感じ取るものなのだろう。
“べき”よりも“好き”を大切にするリアリティ
年長者が「恋愛しろ」「結婚しろ」と促すのは、少子化がもたらす社会構造の歪みに対する危機感もある。
しかし世代によって“普通”のかたちは違っていて、いまは、それぞれの現実のなかで、自分にとって納得できる選択を積み重ねながら生きる人が増えている。
“好き”を大切にするのは、彼らにとって単純な自己主張ではなく、タイトな現実のなかで自分らしい幸福を見つけるための知恵なのかもしれない。


















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