まず、各社の発表を見ると、「コンサルタント数の増強」を掲げるケースが目立ちます。 1000人から1万人規模という壮大な目標を掲げ、キャリア採用の加速、社内トレーニング、異動制度、グループ内のコンサルファームとの連携などを進めています。
組織横断の協力体制づくり、AIやDXのフレームワーク強化、ブランド発信なども盛んです。
これらの取り組みはいずれも必要ではありますが、本当に「核心」を突いているのかという懸念も残ります。問題の定義そのものがずれているように見えるのです。
問い直すべきは次の一点です。
「同じSIを手掛けているのに、なぜコンサルタント・ファームは勝率が高く、より高い報酬を得られるのか?」
この「直球の問い」に、いまの精力的な施策は本当に答えられているでしょうか?
水筒と消しゴムが教える「UPS(独自の強み)」
SIというサービスは、基本的に構築物(システム)の差が小さいため、コモディティ化のリスクを常に抱えています。
コモディティとは「価格以外で差別化できないもの」ですから、何らかの形で差別化を生むことが不可欠です(もちろん「価格勝負」も戦略ではありますが、それだけでは持続しません)。
たとえばサーモスの水筒。「水筒に大きな差はないけれど、ワンタッチ開閉が便利だから選ぶ」と思わせる独自機能があります。
このような「ユニーク・セリング・プロポジション(USP)」が、顧客の選択理由をつくるのです。
SIにおけるUSPをイメージするなら、「MONO消しゴム」がわかりやすいでしょう。
かつてMONO消しゴムは、MONO鉛筆を1ダース買うと付いてくる“おまけ”でした。つまり、消しゴムが欲しい人は鉛筆を買わざるをえない。この抱き合わせ構造が、売り上げの起点になっていたのです。
同様に、SIerが提供する「コンサルティング」がUSP(=MONO消しゴム)となり、SI本体(=鉛筆)を自然に選ばせる仕組みをつくれれば強いのは事実です。
では、現在の「コンサルティング強化」の動きは、そのUSPを生み出せているでしょうか?


















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