「認知症にならない高齢者」「志望校に合格する家庭」の食事は何が違うのか? 健康マネジメントのプロが勧める"集中メシ"
また、オックスフォード大学の研究でも、血中DHA濃度が高い子どもは読解力や記憶力が向上し、さらに、フラミンガム心臓研究でも、中年期の健常者において、血中のオメガ3脂肪酸濃度が高いことが、より良好な脳構造(特に海馬)や認知機能(特に抽象的思考)と関連していることが示されました。
つまり、脳の健康を保つためには、日常的に魚介類などからオメガ3脂肪酸を摂取することが大切なのです。
記憶力や判断力の低下はオメガ3脂肪酸の減少が一因
記憶に関わる海馬は、脳の中でも委縮しやすい部分です。このため海馬にエサをやるがごとく、これらを食事に加えることが欠かせないのです。
そして何より重要なことは、このように脳を回すアブラであるオメガ3脂肪酸は、体内では作り出すことができないということ。これらは、毎日の食事から継続的に摂取する必要があります。加えて、加齢とともに脳内のオメガ3脂肪酸は不足していきます。意識して摂取しないと、気がついたときにはアブラが切れたゼンマイ仕掛けのロボットのようになってしまうのです。
国立長寿医療研究センターの研究でも、日本人高齢者において脳体積の維持にDHAなどのオメガ3脂肪酸の摂取が有効であることが世界で初めて発表されています。
高齢になると、鍵のかけ忘れ、料理に使った火の消し忘れ、一方通行の車線への侵入などの、うっかりが増えていきます。これらの記憶力、注意力、判断力低下は、脳内のオメガ3脂肪酸の減少が一因なのです。
なお、こうした良質のアブラの摂取については、年齢に限らず意識することが重要です。若年層でも肉類中心の食生活を続け、魚の摂取が減っている人は、すでに脳内のアブラが不足している可能性があるので要注意です。
「ノルウェーでは、健康習慣として毎朝スプーン一杯のフィッシュオイルを飲むことが当たり前になっています。この習慣は1850年代まで遡り、魚油が脳の健康だけでなく、免疫力向上、うつ病対策、心臓、血管の健康維持に効果があり、ノルウェーの家庭では子どもから、働き盛りの大人、高齢者まで欠かせないものです」
これは、「ブレインケアとしてのオメガ3脂肪酸」をテーマに対談したときの、在日ノルウェー大使館のアネッテ・山本ハンセンさんの言葉です。流石、イノベーション力でも、幸福度ランキングでも上位国のノルウェー。オメガ3脂肪酸が生活に取り入れられていることがよくわかる印象的なお話でした。


















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