なぜトップ営業は「駄目リーダー」になるのか 優秀なプレイヤーが乗り越えるべき3つの壁

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しかし、顧客だけを見ていればよかった担当時代の癖が抜けず、「顧客に向き合うことが何より大事」という大義名分“だけ”を振りかざし、自社に対する理解を深めようとしない(自社、社内といっただけで内向きな話と決めつける人も多いですね)リーダーは、結果的に社内の協力が得られにくかったり、メンバーも社内で動きづらい状況になったりしがちです。また、この手の人は、最後は自分自身でどうにかできる、どうにかすればよいと思っている場合が多いです。

疎かにしがちな「自社の文化や状況をしっかり理解する」ということの重要性を、今一度考えてみてください。 

忙しさのあまりスキルが磨けていない?(写真:kou / PIXTA)

壁3:忙しさに振り回されて、スキルを磨かない

リーダーになるとさまざまな仕事が増えますから、一般的にはプレイヤー時代よりも忙しくなるでしょう。多忙という状況は、視野狭窄になる危険をはらみます。つまり、さまざまな目の前の仕事をこなすことに一生懸命になりすぎるあまり、リーダーとして必要な自分の能力開発に対する時間がなくなり、関心も薄れていってしまいがちなのです。

しかし、世の中はものすごいスピードで変化し、社内的な役割もどんどん変化します。そんな中で自分の能力だけが変わらなければ、どのような状況になっていくかは明らかでしょう。

悪循環に陥らないためにも

「結果が出ず、焦る。能力が追いついていないから、さらに結果はついてこない……」という悪循環に入ってしまいます。

リーダーだからこそ、常に一歩引いた状態から、次に自分に必要な能力は何かを見定めるようにしなければならないのです。

以上、3つに分けて若手リーダーが越えなければならない壁について見てきました。若手リーダーに必要な力、リーダーとしてのご自身の能力について振り返るきっかけにしていただければと思います。

田久保 善彦 グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長

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田久保 善彦 / Takubo Yoshihiko

慶應義塾大学理工学部卒業、学士(工学)、修士(工学)、博士(学術)。スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所を経て、現在グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長。経済同友会幹事、上場企業およびベンチャー企業外取締役等も務める。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』(ダイヤモンド社)、共著に『志を育てる』、『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』(東洋経済新報社)等、多数。

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