医師が農家や漁師から学んだ健康になる「5つの習慣」――心を穏やかに保ち、健康で幸せに過ごすためのコツ

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そんな厳しい環境の中で、「小さなことにくよくよせず、今日を精一杯生きる」という姿勢が、彼らの健康を支えているようです。

実際に、80歳を超えても船に乗っている方は、「健康診断は受けるけど、毎日を大切に生きることが一番」と話します。この「1日を全力で生きる」生き方が、心と身体の元気を保つ秘訣かもしれません。

自然と共生し、前向きに努力する

農家の方々も自然と深く関わっています。

ある92歳の農家の方は、有機栽培にこだわり、土の力を信じて野菜や米を育てています。農薬を使わず、栄養たっぷりの土で育てた野菜は、害虫にも負けることなく、大きく元気に育つそうです。

彼は「どんなことがあっても、まだまだ素晴らしい野菜をたくさん作るぞ」と意欲にあふれておられます。

農業は、収穫までの計画を立てて、毎日作物を観察し、水や肥料の世話を絶やさず行なう大変な仕事です。猛暑や台風など、自然の試練にも立ち向かわねばなりません。せっかく手塩にかけて作物を育てても、台風が来て全滅してしまうこともあります。

しかし、彼らは自然とはそういうものだと理解していて、それだけに、無事に収穫できた年は、心から感謝を捧げます。この「自然と共生し、前向きに努力する」姿勢が健康長寿につながっているのでしょう。

私はその方の言葉が今でも忘れられません。

「作物はね、人間の言葉を聞いちょるよ。『ありがとう』って言いながら育てとると、野菜が応えてくれるっちゃ」

私にはこれが単なる比喩ではなく、彼の言葉が野菜の命と共鳴しているように思えるのです。言葉という目に見えない力は自然界にも伝わり、影響を与えるのでしょう。

また、ある93歳の男性は「仕事をして、腹いっぱいご飯を食べる。それが元気の秘訣」と笑顔で話します。

海が荒れた日は命がけで陸に戻り、作物が全滅してもまた翌年に向けて種を蒔く──。私が漁師や農家の方々から学んだのは「自然にゆだねる心」と「執着しない強さ」でした。

自然を敬い、毎日を大切に全力で生きる──。このシンプルな生き方が、漁師や農家の方々に長寿が多いカギなのです。

毎日の暮らしの中で、心を穏やかに保ち、健康で幸せに過ごすためには、日々の「言葉の習慣」がとても大切です。ここでは私自身が長年実践してきた5つの習慣を皆さんにもご紹介いたします。

どれも特別な道具や知識はいりません。今日からすぐにでも始められる、心に優しい習慣ばかりです。

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