「子どもを叱らない時代」は大きな勘違い…教育のプロが「日本の学校はゆるすぎる」と断じる理由とは

✎ 1〜 ✎ 55 ✎ 56 ✎ 57 ✎ 58
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

窪田:先生に叱られて喜んでいた、子どもの頃の私と同じですね(笑)。大人の正しい厳しさは、子どもにもしっかり響くのでしょう。

白井:窪田先生はビンタが嬉しかったとおっしゃっていましたが(笑)、「せつせつと説諭」で十分に伝わるのですから、本来、暴力は必要ないものなんです。これは子どもたちに教えてもらった、とても大切なことです。

日本は子どもを一人の人間として捉える「子どもの権利」についての認識もかなり希薄ですよね。私は教育学部ではなく法学部出身なのですが、これがいい方向に働いたと思います。法学部では、「個人の人権を侵害するには、よほど重大で公共的な理由が必要」と教わりました。これがベースとなって、私も子どもたちと対等に接する姿勢ができていたのかなと振り返っています。事情があってフリースクールに来ている子どもにも、先入観を持たずに向き合うようにしています。前歴を詮索せず、まずは彼らを受け入れる。それだけで、子どもたちはびっくりしてしまうんですよね。

肯定された経験があまりにも少ない子どもたち

窪田:もしかして、大人からはまず否定されることに慣れてしまっているからですか。

白井:そうなんです。自分を肯定してもらった経験があまりにも少ないので、ニュートラルに接するだけで、悲しいほど簡単に信頼関係が作れてしまうのです。愛着形成の力になれることはうれしいですが、これまでどんな思いをして生きてきたのかと思うと切なくなります。

次ページどう教育と関わっていくか、大人自身も考えて
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事