「子どもを叱らない時代」は大きな勘違い…教育のプロが「日本の学校はゆるすぎる」と断じる理由とは

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窪田:私も落ち着きがなかった子どもの頃、先生にビンタされてハッとしたことをお話ししましたが、これは別に暴力を礼賛するわけではありません。普通とは少し違う自分と、先生が真剣に向き合ってくれたことが嬉しかったんです。

白井:近年は発達に凸凹のある子どもの増加も指摘されていますが、こうした子どもたちにも「普通」を押し付けるのではなく、愛着と信頼関係を形成することが大切です。

私もフリースクールの子どもたちを注意しないわけではありません。例えば子どもがタバコを吸っていたとき。私の言い方はまわりくどい。「私からあなたへの愛情とリスペクトはまったく変わらない。ただしルールは守ってもらわないとここにはいられない」という内容を、かんで含めるように伝えます。

むしろ私はルールを守ることについては厳しいし、今の日本の学校はゆるすぎるとすら思っています。学校では、なぜか大人もルールを守らないんですよ。いじめ問題を見ていてもそうですよね。いじめには、傷害や強要などの犯罪も含まれていることがあるので、文科省も警察に通報するよう、学校に対してガイドラインを示しています。それなのに、学校側は穏便に済ませようとして、事実を隠すことさえするわけです。その結果、加害者側がのうのうとこれまでどおりの生活を続けて、被害者側が不登校になるような不条理も起こります。

大人こそルールを守るべき

窪田:実にアンフェアですね。

白井:学校の大人が真摯にルールを守れば、私は不登校も半減させることができると考えています。ルールを守るってコミュニティの秩序を保つために本当に大切なので、子どもたちにも全力で守るように伝えます。ただし、あくまでせつせつと説諭していて、感情的に怒ったことは一度もないと自信を持って言えます。それでも子どもたちは「俺、白井先生にめっちゃ怒られた」なんて言うのですが……それも嬉しそうに話すんですよね。

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