当時会長だった父の大塚勝久氏と、長女の久美子現社長が3月の株主総会で経営権を争う過程で、勝った場合は大幅増配することを双方が株主に約束。最終的に久美子社長側が勝利し、配当は前期比で倍増となる通期80円となった。
ここで注意したいのは、同社の15年12月期の1株当たり純利益予想が4.9円しかないこと。そのため利益剰余金を原資に、1株利益の16倍超を配当に回す。有利子負債ゼロと財務体質は強固だが、この水準の配当をいつまで続けられるか不透明だ。依然として筆頭株主である勝久氏との攻防も含め、予断を許さない状況といえる。
自己資本比率が高すぎるのも考えもの
2位の夢真ホールディングスと3位のいちよし証券は、自己資本比率が50%以上と財務は安定している。が、自己資本比率の高すぎる企業は一般的に資本効率がよくないともいえる。コーポレートガバナンス・コードが導入されたことをきっかけに、当面の用途がない資本は株主還元に回し、ROE(自己資本利益率)を高めたいという思惑もありそうだ。
9位の三井物産、16位のキヤノンは、郵政3社と同様に、配当利回りが高い大型銘柄だ。三井物産は資源価格の下落などが嫌気され、5月末から株価が下落傾向。キヤノンも中国経済の減速などのあおりを受け、株価は4月の年初来高値から8割程度の水準で低迷している。一方で両社は安定配当の方針を掲げており、株価が下がったことで利回りは上昇した。
高配当銘柄の株価が下がったタイミングは、インカムゲインに加え、株価反発によるキャピタルゲインを狙える絶好の買い場でもある。
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