15年ぶりの2万円台をうかがう日経平均株価。株式市場の熱気は、国内の投資信託(投信)市場にも及び、純資産残高は過去最高水準に達している。
2015年2月末の投信の純資産残高(確定拠出年金、ファンドラップ向け、ETF〈上場投信〉など除く)は57.7兆円。アベノミクスが実質的にスタートした2012年11月末から4割近く増加した。
その牽引役は、海外企業の高利回り社債(ハイイールド債)に投資する商品や、海外のオフィス・商業ビルなどに投資するREIT(不動産投信)商品だ。
年40%のリターンも
国内の長期金利が0.3%程度と低位で張り付く中、こうした商品は高い分配金利回りに加えて、現在のような円安局面では為替差益も享受できる。「証券会社にとってもセールストークがしやすい」(JOYntの鈴木雅光代表)こともあり、人気を集める。
実際、過去1年間のパフォーマンスは好調だ。純資産残高1兆4901億円と首位の「新光US―REITオープン」の場合、リターンは39.5%に上った(15年2月末時点、分配金を再投資したと仮定。税金などは考慮せず)。そのほかにも純資産残高の上位を占める投信は、軒並み2ケタ以上のリターンをたたき出している(左表)。
「NISA(少額投資非課税制度)の拡充も投信市場には追い風」(モーニングスターの朝倉智也社長)と、市場関係者の間では当面の見通しを楽観視する声が多い。
しかし、これまでのパフォーマンスがよかったからといって、今後も同様の結果が得られるとは限らない。2015年2月末までの1年間、ドルは円に対して約2割も上昇するという円安の追い風もあった。海外物投信の今後を占ううえでカギとなるのは、今年中ともいわれる米国の政策金利引き上げの影響だ。
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