「あれっサバの価格が上がってない?」庶民の魚だったサバの高騰が止まらない理由

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マサバ 対馬暖流系群 資源量と年齢(出所:水産研究・教育機構)

一方、水産研究・教育機構のデータによると、日本海や東シナ海などで豊漁と言われているマサバの場合、漁獲の大半はローソクと呼ばれる2歳以下のサバです。豊漁などでタイトになってきている漁獲枠を増やしてほしいといった要求が出ているそうですが、ローソクサバと呼ばれる未成魚を獲らせて成長乱獲を進めてよいものでしょうか。

「外国漁船が悪い」「海水温上昇が問題」に責任転嫁

ノルウェーでは資源管理して10歳前後のサバを漁獲して99%を食用に回し、日本に高値で輸出する。一方で我が国では2歳以下の価値が低い未成魚を獲ってしまう。

そして獲れなくなると「外国漁船が悪い」「海水温上昇が問題」といった要因に責任転嫁されがちです。そのしわ寄せは、消費者だけでなく、社会全体に押し寄せてきます。

日本は「国際的に見て遜色がない資源管理システムの導入」を目指していますが、反対意見もあり徐々にしか進まないのが現状です。資源管理に関する国民の正しい理解が必要となっています。

片野 歩 Fisk Japan CEO/東京海洋大学 特任教授

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かたの・あゆむ / Ayumu Katano

東京海洋大学 特任教授。早稲田大学卒。Youtube「おさかな研究所」発信。2022年東洋経済オンラインでニューウェーブ賞受賞。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。長年北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国であるノルウェーには、20年以上毎年訪問を続けてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会)、『日本の漁業が崩壊する本当の理由』他。

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