「あれっサバの価格が上がってない?」庶民の魚だったサバの高騰が止まらない理由
今では日本市場を席巻しているノルウェーサバは、もともと国産サバの不漁を補うために大量に輸入されたサバでした。筆者はノルウェーサバが一挙に数万トンから10万トンに急増した1990年からサバの買い付け担当として20年以上、毎年現地に行っていました。
1990年以前のノルウェーでは、サバの多くが魚粉・魚油といった非食用用途に加工されており、食用としての市場はまだ小さなものでした。ところが、自国の資源をつぶしてしまった日本という巨大市場が突然現れて、設備投資や日本人による品質指導が進みました。今では、毎年漁獲量の99%が食用になっています。
サバに限らず、かつて日本の独占市場ともいえた水産物の買い付け。2005年までは水産物の輸入金額で日本は世界一でしたが、今では日本の調達力や交渉力は相対的に低下しています。だからこそ、自国の水産資源を活かすことが一層重要になっているのです。

サバを輸入しなくても国産で本来は補える
下表をご覧ください。サバの全体の水揚げ量に対して、非食用(養殖)向けになっている比率を32港の「産地水産物用途別出荷量調査」(水産庁)に基づいて単純計算して出した数字です。

2024年は実に6割・約15万トンものサバが丸のまま非食用(養殖のエサ)に向けられています。一方で、日本に直接輸入されているノルウェーサバの加工用原料はその3分の1の約5万トンです。
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