「あれっサバの価格が上がってない?」庶民の魚だったサバの高騰が止まらない理由
ノルウェーサバが高騰して輸入数量が減ることは、単に消費者が買う価格が高くなるということに留まりません。サバを日本で最も加工している銚子地区にも廃業などの悪い影響が出ています。もともと千葉県・銚子港は日本で最も多い水揚げ量を誇っていました。その中心がサバでした。

しかしながら1990年以降、銚子で水揚げされるサバは漁獲量が減り、成長する前に漁獲してしまうため、サイズも小さくなっていきました。地元の水産加工業にとって前浜での水揚げ減少は大きな痛手です。
そこで、国産サバの代替として輸入され始めたのがノルウェーサバでした。1尾500グラム前後が平均重量と大きいサバ。脂がのっている時期にしか漁獲されないため品質が良く、瞬く間に日本のサバ市場を席巻しました。
地元の水産業は、国産サバからノルウェーサバが前提となった加工体制となり、箱詰めなどの資材、運搬・保管など様々な業種に好影響を与え発展が続きました。ところが時代の移り変わりとともに、他の水産物と同様にサバの輸入も難しくなってきました。そうなると他の魚を加工する選択肢は限られているので、ますます苦境が続き地方衰退を招いてしまいます。
日本とノルウェーで漁獲されるサバの年齢は大きく違う
次のデータはタイセイヨウサバ(ノルウェーサバ)の年齢と重量の関係を表しています。赤丸のところを見ていただくと、500グラムになるのにおおよそ10年かかっていることがわかります。

今年の大型巻き網漁船が漁獲したノルウェーサバのサイズは平均で500グラム前後でした。ノルウェーでは、漁船ごとに実際に漁獲できる数量よりかなり小さい漁獲枠しか配分されません。このため漁場や漁獲したサイズを共有して、大型のサバを漁獲しています。
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