まずやってみたのは「自分と繋がりの全くない人が集まっているSNSで、いろんな人の考え方や答えの導き方にとにかくたくさん触れてみる」という試み。そこから「徐々に自分の中にあるこだわりが抜け、人の意見がすっと入ってくるようになっていった」。
それまでは、自分のこだわりに固執し、しんどくても「できない」と言うことができず、無理をしてでも走り続ける。そういうやり方しか知らなかった。
一方で、好きなことにとことん情熱を傾けることができる生き方は、山田さんの長所でもあった。その魅力を理解している人々が「お前はそんなはずじゃないだろう、あの生き生きしていた頃の自分を思い出せ」と声をかけ続けていたのだ。
その積み重ねが、山田さんに本来の自分を徐々に思い出させ、ゆっくりと原点に立ち返っていけたのだという。
「『足るを知る』ですよね。3年くらいかかりましたが、今の自分にとってちょうど良い生き方を再認識して再構築することが、メンタルの安定に繋がっていった気がします」
ある日突然それを悟ったわけでもないし、決定的なきっかけがあったわけでもない。ただ、自分は「運が良かった」。これまで自分が積み上げてきた人間関係に、助けられたのだ。
「最後の決定打となったのは末っ子の誕生ですね。3人目となると、もはや大人の数よりも子どもの方が多いじゃないですか。するともう、良い意味で手を抜かないとやっていけない。『自分の力だけではどうにもならないことがある』ということを、ようやく本当の意味で理解できた。強制的に肩の力を抜かざるをえなくなりました」と笑った。
筋力の維持ができず後悔
メンタルの問題を抱え、体にも変化があった。15キロほど体重が増加したのだ。
「元々ラグビー部出身で筋肉量には自信があったし時々運動も続けていましたが、うつになったあたりから運動ができなくなってしまった。『筋力の維持』は、心の健康にもつながると聞くので、その点は後悔している」という。
うつになる前に通っていたマシンピラティスは「汗が滝のように出てすごくハードなんですが、月に一度行くだけでも全然違っていたなあ、と。やっぱりまた通いたいですね」。
ただ、今は第3子が生まれたばかりでなかなかその時間は取れない。体重を戻すために、現在は自分のできる範囲で食事内容をコントロールしている。
例えば、炭水化物を控え、肉を多めにとる。すると、頭も冴えて眠くならなくなった。「多分、前は食べすぎていたんだと思う。適正量がわかってきた感じです」。
「あとは、息子たち2人と格闘することが、最近では一番いいエクササイズになっているのではと思っています(笑)」

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