日本板硝子のトップ交代はサプライズなし、“日本流”の順当な跡目相続
「4月上旬に本人から辞任の申し出があったので、解任ではありません」
建築用と自動車用で世界最大手級のグローバル企業、日本板硝子が4月18日に開いた社長交代の緊急会見。その場に、渦中の人であるクレイグ・ネイラー前社長兼CEOの姿はなかった。
日本板硝子は、2006年に年商規模で約2倍の“格上”英ピルキントンを総額6000億円超で買収、完全子会社化したことで知られる。中国や南米など世界約30カ国に幅広く展開するグローバル企業へと大躍進を遂げた。と同時に、会計や経営統治の手法をグローバル基準に準拠する国際経営にシフトさせた。
あれから6年が経過。同社は、外国人幹部が手腕を発揮しやすい国際センス溢れるトップマネジメントを、最高幹部が集まる東京・三田の本社に注入したと考えられてきた。
ネイラー氏辞任の真相はやぶの中
ところが、就任2年を待たずしての外国人トップの突然の辞任会見。本人の肉声は聞かれず、理由を代読したのは、ネイラー氏の前の社長兼CEOで、日本板硝子ひと筋44年の藤本勝司会長(写真左)だった。この会見風景が、辞任劇が、トップマネジメントの異常によって、引き起こされたことを示してくれる。
藤本会長は、交代がネイラー氏の突然の辞任申し出で、同日の臨時取締役で決定したことを表明した。そして、その経緯を藤本氏自らの言葉で語ろうとはせずに、ネイラー氏が託したとするコメントで、切り抜けようとした。