日本板硝子のトップ交代はサプライズなし、“日本流”の順当な跡目相続
コメントを要約すると、「他の取締役メンバーとの間で戦略の方向性や進め方で考え方の不一致があった。ただし、具体的に中身に立ち入ることはしない」という。真相を知りたい会見ムードのなかで、“不一致”の点について、会見で詰め寄られると、藤本会長は「製品の高付加価値化を事業展開するときの優先順位や、組織運営の問題で相違があった。これ以上は機密に絡むので詳しく述べることは遠慮願いたい」と述べるにとどまった。
最後まではっきりとした内容は明らかにせず、会見後の立ち話にも応じず、早々と三田の本社内に設けられた会見スペースから退出した。
吉川氏は1度は社長打診を固辞
日本板硝子は、ネイラー氏の辞表提出から2週間前後で、後継社長に吉川恵治氏(写真右)を選んだ。吉川氏は、社内取締役のうち、ネイラー氏、藤本会長、阿部友昭副会長を除いた4名のなかで最年長の61歳。4年前、取締役に就任以来ずっと情報・電子分野向けの機能性ガラス事業を担当していたが、今年2月にリストラ担当の最高責任者として代表権付きの副社長に昇格していた社歴39年の大ベテランだ。
それにしても、後継決定は、不思議なほど手回しがよかった。会見を開いた当日4月18日付で、新任の社長兼CEOに就いていた吉川氏。取締役執行役に選ばれた当時に、藤本会長から1度は跡目相続を打診されたという生え抜きエースだけはある。
「あれから3年ぐらい経って余裕が出てきた。キャリアは通じると考えた」と、日英連合企業の舵取りに自信をのぞかせる。