そして、今、日本にとって、もっとも重要な問題は、このシナリオを阻止することである。このリスクが高まっていることが、日本を国家としての危機、戦後最大の危機に陥れているのだ。
民主主義の寿命が尽きようとしている
第6に、したがって、消費税減税だろうが、物価対策だろうが、そんな経済政策はどうでもいい。現在の日本政治においては、どうでもいい論点なのである。
それよりも、この日本国家の危機をどう救うか。責任ある日本の政治を作っていく側の政党をどう作っていくか。それは自民党を立て直すことで可能なのか、それとも、現在存在するほかの政党が、奇跡的にそのような政党に組織として成長していくか。前者は、多くの人が難しいと思っており、後者は、誰もが不可能だと思っている。
しかも、世界秩序も同時に、第2次大戦後最大の危機を迎えている。転換点というよりは、これまでのシステムが崩壊し始めたのは明白だが、次のシステムがまだ準備されていないだけでなく、今後は生まれることすらないのでは、という危惧が高まっている。世界秩序崩壊の危機に直面しているのである。
日本の危機、世界の危機が同時に起きているときに、2つの危機に同時に対応していく首相を選ばなくてはいけない、という状況なのである。しかし、それは誰がやっても不可能という現実から目を背けるしか、気休めとなる解決策はない。
もっとも、根源にあるのはもっと深いものである。つまり、日本の危機と世界の危機の原因は同じであり、同時に起きているのは必然である。なぜなら、その原因というのは、民主主義社会の寿命が尽きようとしていることだからだ。そして、社会の変化の加速により、死去の時期が急激に早まっているということなのだ。
つまり、絶望の隣は、より大きな絶望なのである(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が競馬論や週末のレースについて語るコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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