「フルスペック総裁選が自爆行為」であるワケ
第3に、自民党はフルスペックの総裁選を選んだが、これは自爆行為だ。1年前の総裁選と違って、総裁選に関する報道、討論会などの中継、これらがメディアで流されるたびに、自民党の支持率は落ちていく。
なぜなら、自民党の内部の話を聞くのは、もううんざりだからだ。選挙というお祭り以外、自分たちが参加できるイベント以外の政治の報道はうざいだけで、すべてにおいてマイナスとなるのだ。
これは自民党だけの話ではなく、日本維新の会、立憲民主党、いや政治の話そのものがすべてマイナスであり、政治に関するネガティブなイメージをさらに深める、あるいはうんざりする、あるいは、古い世界の話として攻撃のネタになるだけなのだ。
私は、参議院選挙で躍進を遂げた参政党は、選挙後、この「メディア晒されの刑」で、ブームは終わり、失速していくと思っていた。ところが、神谷宗幣代表が賢いのか、メディアが愚かなのか、あるいは、単にたまたまなのか、参政党がなぜ躍進したか、ということを議論する「古い」人々、政治評論家などが露出するばかりで、参政党そのものの露出はほとんどなかった。
選挙後の参議院予算委員会での神谷議員は17分間の質問に立ったが、この件に関する目立った報道はなかった。参政党に投票したほとんどの人は、もちろん見ていないし、その事実すら知らないのではないだろうか。
この神谷議員の予算委員会での質疑に注目して、凡庸だった、何の意味も主張もない、勢いもない、という形で、言及したのは、すべてが「古い」政治評論家や「古い」メディアだけだった。同様に、「古い」メディアに晒されたことにより、人々に嫌われた例としては、石破おろし(あるいは石破首相の抵抗)の件である。これを話題にし、この醜い争いの報道、論評、今後の予測というゴシップに「古い」メディアと「古い」評論家たちは終始した。このとき、石破支持率が上がったのは、抵抗する姿の報道よりも、おろしの人々の罵声に関する報道の方が多かったからである。
したがって、自民党総裁選のこれからの報道は、ますます「アンチ自民党」を増やし、「アンチ古い政治」「アンチ古い政治サークルの人々」「アンチ古いメディア」を増やすだけのこととなろう。自民党支持率は回復するどころか、だらだらと下がり続けるだろう。フルスペックを選んだことで、この支持率下落効果は長期化し、トータルでの支持率の下落幅は大きくなるだろう。
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