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「フルスペック選挙」は自爆行為なのにそれもわからず、10月4日の自民党総裁選挙は自民党と日本政治を滅ぼすだけだ

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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比較第1党でも、もはやただのマイナー政党に

第4に、もはや、自民党は、責任与党、比較第1党というポジションは維持したまま、ただのマイナー政党になってしまっている、という事実を、自民党の人々は気づいていない、気づいていないふりをしている、ということだ。

自民党総裁選は、党員票の取り合いの主張合戦になっている。党員は約100万人しかいないし、しかも、国民全体から大きく外れており、いちばん一番流行おくれの人々で、今後、同じ価値観、行動パターンの人々は、党員以外に広がる可能性はまったくない。

そして、その100万人は、ぶら下がっている先の議員が落選するだけでなく、死亡したり、選挙に行くことがなくなったり(物理的に負担が大きくなることにより)することにより、どんどん減っていくだろう。となると、自民党総裁選での討論の論点は、弱小政党の党首選挙と同じくらい、国民の論点からずれていき、それが報道されることで、ますます総選挙での票を減らすことになるだろう。

しかし、そんな目先の現象を超えて、自民党がまさに日本をリードする、政治、政界の流れを作る側ではなく、政治を消費する政党になってしまっていることを示す。群衆の行動にただただ流されるが、それに乗ることもできず、ひたすら大衆有権者に消費されていく政党になってしまう。その中で目標が現状維持となり、国民全体の支持は失っても、身内の党員の支持の減少を最小限に食い止めることにだけ必至となる。その結果、共産党、社会党などと同様に、滅びゆく政党としての行動パターンにはまっていくようになるだろう。

第5に、しかし、代わりになる政党は存在しない。今後、比較第1党になる政党はあるだろうし、政権をとる政党、代表が首相になる政党は出てくるだろう。しかし、日本の政治的な方向性を自ら切り開いていく側、つまり、政治を作る側の政党は存在しなくなる、ということだ。政局や、政治的状況を消費する政党しか存在しなくなる。正しい世の中を作るために、世間の流れに飲み込まれないようにするのではなく、正反対に、流れに積極的に迎合し、ブームのおこぼれにあずかろうとする政党しか存在しなくなる。

その結果、連立政権が常態化するとか、連立に向いている政党が力を増していく、という表面的な現象や変化の危機という次元ではなく、本質的な意味で、政治が漂流し、日本には国としての政治は存在しない、という破滅的な状況になっていくリスクが高まる。

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