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東大文学部卒が《劇場版 「鬼滅の刃」無限城編》を観て感じた、前作『無限列車編』との決定的な差 興収340億円超で歴代2位も前作には及ばない?

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だが、それは一方で映画の否定でもある。つまり、彼らは「撮りためたアニメの一気見」のような感覚で劇場に足を運び、満足して帰っているのだ。大きなスクリーン、迫力あるサウンドのもと、ふかふかの観劇専用椅子に腰かけつつ、同じく『鬼滅』ファンの同士と共に、アニメを観に来ている。それは、仮に場所をレンタルスペースに変えても同じことであろうし、映画である必然性は全くない。

「劇場版」はどうあるべきか

『無限列車』に続いて『無限城編』もまた、『千と千尋』を追い抜き歴史を塗り替えた。だが、それはある意味で、日本映画の敗北のように思えて他ならない。なぜならば、彼らは映画を観に来ているのではなく、「アニメ」を観に来ているのだから。

そこには、映画を映画と言わしめる構成や演出、ボルテージの盛り上げ方などは一切関係がなく、ただ作品に寄せられているだけだからだ。今回のヒットは、何も考えずに観る層向けに作ったほうがウケる証左であり、今後もだらだらとテレビ版の続きを劇場で垂れ流すだけの「劇場版」は増えるかもしれない。

色々と考えながら物を見る。すべての基本であり、教育現場で一番に教えられるべきメッセージだ。作中でも、炭治郎はあらゆるシーンで自らの不出来の原因やその対処法などについて、絶えず内省していた。人は考える葦にすぎず、だからこそ、か弱い人間の炭治郎は常に「思考」の力で鬼に立ち向かってきた。「ヒノカミ神楽」などは些末な事象にすぎず、彼の強さの根源は「思考」にこそある。今では国民的人気キャラと化した炭治郎だが、彼の生きざまと戦いぶりから、我々はいったい何を学べたのだろうか。

【画像を見る】興行収入340億円を突破した『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』

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