東大文学部卒が《劇場版 「鬼滅の刃」無限城編》を観て感じた、前作『無限列車編』との決定的な差 興収340億円超で歴代2位も前作には及ばない?
そこまでの成功の一つの要因は、『無限列車編』が単純に映画として出来が良かったことが挙げられるだろう。列車に乗り込む導入から、「炎柱」煉獄杏寿郎との出会い、「下弦の壱」眠り鬼の魘夢との死闘を経て、突如乱入してきた「上弦の参」猗窩座との決闘は、陽光を恐れた猗窩座の逃走と、全てを庇った煉獄が死に至る痛み分けに終わる。

ファンはもちろんのこと、導入が丁寧に描かれているため、「初見勢」でも十分に楽しめる作品に仕上がっていた。さらに、映画の構成としても非常にきれいで、緩急が非常によくついていた。徐々に盛り上がっていくボルテージが下弦の壱討伐で一度頂点を迎え、つかの間の静寂を見せた後、猗窩座乱入による急展開となり、煉獄の静かながら力強い遺言「心を燃やせ」が観客に終わりと余韻を感じさせる。
コロナ中で人々が娯楽に飢えており、時間的な余裕もあったことを鑑みても、まず面白くなければここまで跳ねなかった。単純に映画としてのクオリティは近年まれにみる傑作であった。このフェーズを超えて、『鬼滅の刃』の支持層が一部のアニメファンから一般大衆へと広がった、すなわち「国民的アニメ作品」へとのし上がったように感じる。
鬼滅人気は終わらないまま『無限城編』が公開
原作マンガが終了して5年。2025年になっても『鬼滅』人気は終わらない。今年7月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、同シリーズ最終章である「無限城決戦」を描いたものとあり、大々的な宣伝がなされた。

三部作の内の第一作目である本作最大の目玉は、なんといっても宿敵「上弦の参」猗窩座との因縁が描かれるところだろう。柱稽古編ラストにて、ついに鬼殺隊の前に姿を現した宿敵・鬼舞辻無惨の手によって、鬼殺隊士は鬼舞辻ら鬼陣営のアジトである「無限城」に引きずりこまれてしまった。
無限城各所で、鬼と人間の生き残りをかけた最終決戦が始まっていく。そして、『無限列車編』にて煉獄を葬り闇に消えた悪鬼と、度重なる強敵との戦いを経て鍛錬を積んだ炭治郎らとの戦いの行方は、というわけだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら