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ライフ #夫が「家で死ぬ」と決めた日

"葬儀で出すポップコーン1皿2200円""総費用780万円"――くらたまが伝えたい「大切な人が亡くなったあとに後悔したこと」

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閉会間際に私も少しお話しさせていただきました。また泣いてしまってうまく話せなかったけど、伝え損ねたことをこの場で一言だけ。

どうか夫のことを忘れないであげてください。たまには思い出してもらえたら幸甚です。

遺品整理はなかなか進まない

夫の遺品は、少しずつ整理しています。

着道楽だった夫は服や靴をたくさん持っていました。よく着ていたものやいかにも夫らしいものは確保し、残りの中でよさそうなものは身内に譲ったり。それでもまだ整理しきれていません。

本や漫画も、夫しか読まなかったものは処分していこうと思っていますが、手に取ると「私も読んでみようかな」という気になってしまいなかなか減っていきません。

遺品整理は、最近同居を始めた姪(妹の娘)が手伝ってくれています。

2023年の3月、福岡の大学を卒業した彼女は東京にある企業に就職し、うちの近所のアパートを借りて住んでいました。夫がいなくなって、「私が一緒に住んじゃる」と半ば強引に引っ越してきましたが、明るい彼女のおかげで家が暗くならず助かっています。

「おばちゃん、これはいる?」

「これ、もらってもいい?」

姪はサバサバと整理を進めてくれますが、私がサバサバしていないので進まないのです。

ある日、姪が「これどうする?」と持ってきたのはベルトでした。

「誰も使えんよね」

「うん。でもこれは手放せないわ」

私はベルトを2本受け取りました。

「高いやつなん?」姪が聞いてきたので、「そうだね。でも、売り物にはならないよ」と答えました。ブランド品ですがこのベルトには、本来ない場所に穴が開いているからです。夫が開けた穴です。

2023年の夏前、十二指腸が詰まりご飯が少量しか食べられなかったこともあってかなり痩せてしまった夫は、ベルトの穴が足りず自分で穴を増やしていました。

「ズボンがブカブカでさ。ずり落ちそうなんだよ」

床に胡座をかいて、背中を丸めて錐でベルトに穴を開ける夫。

(イラスト/倉田真由美)

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【くらたまが「悔やんでいるもの」】

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