夫は小さな会社のサラリーマンでした。本人のキャラクターが面白いために少し知名度はありましたが、高給取りというわけでも人気者の有名人というわけでもありません。
我が家自体、お金持ちでもない一般家庭です。葬儀の規模なんて、ごく普通でいいんです。
そう思っていたし、葬儀業者と交渉してくれた妹や義妹もそのつもりだったはずです。
後から振り返ると、「あれはこうすればよかったかな」「これはこっちにすべきだったな」と後悔することはいくつかありましたが、元々夫も私も儀式的なことに強いこだわりがあるわけではないので、「妹たちのおかげでなんとかなった」という感謝の気持ちが一番大きいです。
生前に決めておいたほうが後悔も少ないのでしょうけど、やっぱり心理的なハードルは高いので、細かいことまでは無理に考えたくない人は考えておかなくてもいいかもしれません。
「そんな金あるなら娘のためにつかってくれよ!」
天国の夫はきっと言っています。あなたが生きている時に、元気なうちに、もうちょっと話しておくべきだったよね。
「夫を送る会」で思ったこと
2024年7月10日、夫・叶井俊太郎を送る会を、有志の方々に開催していただきました。
生前の夫は何度か、「俺が死んだら『送る会』やるよね」と、口にしていました。葬儀に関することは一度も話さなかったのに、「送る会」はやってほしかったのか仲間内でそういう話をしたことがあるのか、開催するのは本人の中で確定事項になっていたようでした。
私は夫が生きているうちに死後の話なんかしたくなくて、いつも詳しい話をする前に話題を変えていました。だから、夫がどんな「送る会」をしてほしかったかはわかりません。でも賑やかなのが好きな夫、「いっぱい人が集まるといいな」とは思っていたはずです。
実際、たくさんの人に来ていただきました。
何か偉大なことを成し遂げたわけではないけど、不思議と人気者だった夫。正直なところ、なんとか100人くらい集まっていただけたらいいなと不安だったんですが、蓋を開けてみると300人以上の来場がありました。
夫という人間のユニークさ、個性の強さを受け入れてくれていた人たちが数多くいたことに、私は感動しました。
「送る会」では夫の人となりをよく知る人たちが、舞台上で様々なエピソードを語ってくれました。
夫が小学生の頃に、パンツの中に虫が入って大騒ぎしたという会場を沸かせた話は私も初めて聞く話でした。夫らしい、しんみりすることが一切ない、笑いに満ちたいい会でした。
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