実際私の祖母は、大腸がんで亡くなる前、自分の葬儀について、「お坊さんを5人呼んでほしい、100人以上入る◯◯の会場で会席をふるまってほしい」など、細かいことまであれこれ要望を出していました。
夫はがんだったから、それも亡くなるかなり前から末期がんと言われていたから、遠くない未来にいなくなってしまうんだろうとずっと覚悟はしていたつもりです。
でもいつも、まだしばらく大丈夫、少なくとも今日と明日は絶対大丈夫、と思っていました。
傍から見た時に急死とは言えないかもしれないけど、私にとっては急な出来事でした。あの日に亡くなるなんて、前日までまったく思っていなかったんです。
夫が亡くなって呆然としている時に、すぐに決めなければならないのが葬儀のことでした。
私だけだったらあの時期に葬儀を執り行えていたかわかりません。妹、そして夫の妹が葬儀業者との交渉、具体的な内容を決めてくれました。私は予算のことすらろくに考えられず、「決めてくれたらそれに従うよ」という感じでほぼ任せてしまいました。
最低限考えておいたほうがいいこと
大事な家族がまだ生きているうちに、葬儀のことなんて考えたくはないものです。
そして亡くなった直後はそれどころではなくなります。でも誰にでも起こる「身内の葬儀」、最低限考えておいたほうがいいこともあることは痛感しました。
それは、「総費用」です。
葬儀で提供されるものは、びっくりするほど高額です。
例えば夫は映画を仕事にしていたので、来てくださった方に映画っぽくポップコーンをお出ししました。これが1皿2200円、50皿で11万円。ポップコーンでこの金額! 揚げ物やサンドイッチなども含めると、食事だけで車が買えそうな額になります。
葬儀業者は様々なものをすすめてくるので、唯々諾々と従っていたら青天井に金額が上がっていきます。
お花、棺、香典返し、多くのことを「する」「しない」はもちろん、グレードも一つずつ決めていかねばならないので、すべて決まるまで総費用はわかりません。
葬儀業者と相談を重ねていろんなことを決めていき最終的に出た最初の見積もりは、780万円。横で頷くだけだった私も、さすがに「ではそれでお願いします」と言えませんでした。
妹たちもそれは無理と交渉し直しましたが、最終的に500万円ほどになりました。これでも高いですし、実際香典分を差し引いてもかなりの金額が持ち出しになりました。
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