「抗がん剤治療はしない」「標準治療は受けない」 56歳で亡くなった倉田真由美さんの夫が決断した"膵臓がん"との向き合い方

倉田真由美さん(撮影:今井康一)
膵臓がんで逝った夫は、生前「抗がん剤を使わない」「標準治療を受けない」と決め、実行した。妻は日々どんなことを思い、彼に寄り添い続けたのか――。
1年9カ月にわたる闘病をつづった『抗がん剤を使わなかった夫 ~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』を上梓した漫画家でありエッセイストの倉田真由美さんのインタビューを、2回にわたってお届けする(前後編の前編)。
【後編を読む】倉田真由美さん夫「膵臓がん発覚後」の人生の選択
56歳で膵臓がんで亡くなった夫
――夫の叶井俊太郎さんが56歳で亡くなられて1年と少し経ちます。
食べさせてあげたかったなとか、もっと旅行に行けばよかったなとか、思い返して後悔することも山ほどあるんですけど――。でも大きな選択に関しては、(後悔は)あんまりないんですよね。夫も最後まで後悔していなかったですし、これはこれでよかったかなと思うことばかりです。
――大きな選択というのは、「どんな治療を受けるか」というところですよね。
そうです。夫の場合は標準治療を受けませんでした。でも、これも1つの例で、こういう選択もありなんだということを、多くの人に知ってもらいたいと思っています。
日本という国は、“がんになったら治療ありき”なので、そうじゃない生き方をした人の話や生活がどういうものなのか、多くの人が知らないと思うんです。治療しなかったらすごく痛いとか、恐ろしい最期を迎えるとか、そういうことがまことしやかにささやかれています。
でも、実際にはそんなに恐ろしいことになるわけでもなかったです。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら