「抗がん剤治療はしない」「標準治療は受けない」 56歳で亡くなった倉田真由美さんの夫が決断した"膵臓がん"との向き合い方

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――反医療ですか? でも、叶井さんは標準治療こそしませんでしたが、手術は受けていますよね。

いわゆる「対症療法」っていう、生きるうえでの不自由さを解消する治療ですね。

がんが大きくなって胆管が詰まったときは、胆管を通すための手術をしましたし、十二指腸が圧迫されて食べ物が小腸に降りていかなくなったときは、胃と小腸をつなぐバイパス手術をしました。

そういう意味では、夫は、つらい症状をとるための手術はあまり悩まず、さっさと受けていました。

実は、食べ物が小腸に降りていかなくておなかに痛みが出たとき、手術のほかにも選択肢があったんですよ。食べることをあきらめて点滴にするという方法です。そうすると、おなかが痛くならない。でも、夫は迷わず手術をしても食べることを選びました。

「痛くない」「食べられる」を死守した夫

『抗がん剤を使わなかった夫 ~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(古書みつけ)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

――痛みを取る治療も受けていました。

はい。緩和ケアです。誤解されている方が多いんですけれど、緩和ケアは自宅でもできるんです。痛み止めのモルヒネも家で使っていました。

とにかく「痛くない」と「食べられる」という2つを死守することが、夫にとっていちばん大事なことでした。一方で、長く生きることは別にどうでもいいっていう感じで。その辺の優先順位ははっきりしていました。

本当に、長く生きたいっていうのがなかったなぁ、全然がんばらなかったですね。

――改めて、叶井さんの選択した生き方について思うことがあれば。

私は夫みたいにはなかなかなれないな、とは思いますが、夫が決めた人生なので、それは受け止めています。

ただ、少なくとも「標準治療をしないからといって、とんでもない選択肢ではない」っていうことは知ってほしい。「変わったやつがアホな選択をした」みたいには絶対、思ってほしくない。

もちろん年齢だったり、がんの種類だったり、進行の程度だったりで全然違ってくるし、人によっても違うんだと思うんですけれど、“自分の最後の重要な選択は、自分でして大丈夫だよ”って言いたいです。

【後編を読む】倉田真由美さん夫「膵臓がん発覚後」の人生の選択
鈴木 理香子 フリーライター

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すずき りかこ / Rikako Suzuki

TVの番組制作会社勤務などを経て、フリーに。現在は、看護師向けの専門雑誌や企業の健康・医療情報サイトなどを中心に、健康・医療・福祉にかかわる記事を執筆。今はホットヨガにはまり中。汗をかいて代謝がよくなったせいか、長年苦しんでいた花粉症が改善した(個人の見解です)。

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