民主主義国家であれば、イスラエル政府はパレスチナ人にもユダヤ人と同じように参政権などの権利を付与しなければならない。となれば国会の議席の半数をパレスチナ人の代表が占める可能性も出てくる。
場合によってはパレスチナ人が首相になる可能性もあり、もはや「ユダヤ人の国」とは言えなくなってしまう。
もちろんパレスチナ人を差別的に扱うという手法もある。実際、イスラエル国内のパレスチナ人には十分な権利が与えられていない。その結果、イスラエルに対し「アパルトヘイト」だという批判が出ている。しかし、700万人を差別的に扱うことは非現実的である。
結局、イスラエル政府の極右勢力がたどりついたのは、併合後もユダヤ人が圧倒的多数を占める国家を維持するために、パレスチナ人を意図的に国外に排除する「国家による人口操作」という恐ろしい計画だ。スモトリッチ財務相は「最少のパレスチナ人で最大の領土を得る」とその意図を隠していない。
では国際社会はどうすればいいのか。
国際社会の結束と行動が不可欠
国家の違法行為に対して唯一強制力を持った対応を決めることができる国連の安全保障理事会は、イスラエルに不利な決議に対してアメリカが拒否権を行使し続けているため機能しない。国際司法裁判所などは相次いでイスラエルの違法行為を認定しているが、それを正すための強制手段を持たない。
イスラエルの暴走を止めるには、遠回りではあるが多くの国が結束し行動するしかなさそうだ。9月下旬に国連総会で各国首脳らによる一般討論演説が予定されている。当面はこの場が、イスラエルに圧力をかける貴重な場となるだろう。
また批判や非難など言葉だけではイスラエルは行動を変えないことは明らかだ。一部の国が取り組んでいるような武器供与停止や貿易の規制など、できる限りの制裁措置を多くの国が実施することも必要であろう。
イスラエルの暴走はすでに人間の尊厳を完全に破壊しかねない段階にきている。もはや国家間の利害得失を超えた人類の問題である。
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