「強制移住」に「82%の土地併合」…イスラエルをおそるべきパレスチナ人の排除に駆り立てるのは、「民主的なユダヤ人国家」という矛盾した理念

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あまりにも非人道的な対応に、イスラエル寄りだった主要国が相次いで批判に転じた。イギリス、フランス、カナダ、オーストラリアなどはパレスチナを国家承認する方針を打ち出した。

代表的親イスラエル国のドイツはメルツ首相が「友好国であっても悪いことは悪いと批判する」として武器供与を停止した。フランスのマクロン大統領は公開書簡で「植民地化を終わらせるべきだ」と非難。豪州はイスラエルの極右政治家のビザを取り消し入国禁止にした。入植地産の農作物の輸入禁止措置など制裁を打ち出す国も広がっている。

イスラエルに対する国際社会の批判はかつてないほどの広がりを見せている。しかも言葉だけの非難ではなく、具体的な措置を講じる国が増えている。

ところがこうした動きはどうやら逆効果を生んでいるようだ。

南スーダンへの200万人移住計画

イスラエルは孤立を回避するのではなく、今まで以上に「ユダヤ人国家」の実現にこだわり、驚くべき計画を次々と打ち出している。

まず8月中旬、イスラエル政府がガザの約200万人のパレスチナ人を移住させるために南スーダン政府と密かに交渉していることが報じられた。ガザからパレスチナ人を強制的に取り除いてしまおうという典型的な「民族浄化作戦」である。

ところがイスラエルはこの事実を否定するどころか「パレスチナ人が自発的に移住を希望するなら問題はない」と正当化している。

最貧国の南スーダンに100万人単位の移民を受け入れる財力も体制もないことは明らか。9月に入って南スーダン政府は受け入れ拒否を公表した。しかし、CNNはイスラエルがソマリアやリビアなど数カ国と交渉を続けていると報じており、まだ計画をあきらめてはいないようだ。

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