「宗教はビジネスだ」と言えるこれだけの理由…お金と人を獲得するための競争を勝ち抜いてきた組織を、アダム・スミスはどう分析したか

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ビジネスとしての宗教
宗教は合法的なビジネスだ。魅惑的で優美な外見の内に、強固な組織の力を持つのが宗教なのだ(写真:doidam10/PIXTA)
現代社会において、宗教はすでに巨大な経済活動を伴う「ビッグビジネス」と化しており、その市場規模はマイクロソフトやアップルといった企業の収益を上回るといいます。宗教活動はいかにして強大な力を得たのでしょうか。その秘密は、宗教団体が世俗の企業と同じように、組織として「日常の営み」に携わり、競争を勝ち抜いてきた点にあります。ポール・シーブライト『ビジネスとしての宗教』から一部抜粋・編集の上、お届けします。

強固な組織の力を持つ宗教

宗教団体は浮世離れした言葉で教えを説いていても、効果的に成果をあげるためには、実際の行動によって信者の役に立たなくてはならない。幸運なめぐり合わせばかりに頼っているわけにはいかず、システムによって成果をあげる必要がある。

『ビジネスとしての宗教』
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信者や潜在的な信者に対して説かれる教えの中には、実際的なものや、元気づけるもの、ためになるもの、あるいは人生を一変させるようなものも含まれている。しかしそのような教えの中身だけで、力を獲得したわけではない。

宗教団体を構成する組織自体(教会、モスク、マドラサ、シナゴーグ、寺院、祈禱会、アシュラム、修道院、集会所)が、19世紀の経済学者アルフレッド・マーシャルのいう「日常の営み」に携わらなくてはならない。

宗教団体は人を集め、資金を調達し、予算を配分し、施設を管理し、交通を手配し、職員やボランティアの意欲を引き出し、教えを宣べ伝えている。その際には、ほかの組織と、資金や忠誠心や活力や関心をめぐって競争しているのだという意識を強く持っている。

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