土が主原料の「3Dプリンターの家」販売スタート! 約70~80平米・価格2000万円~、来年から受注。間取りや強度など詳細レポート 熊本

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「家」を再定義する―未来の家をつくる―、この「Lib Earth House(地球の家)」のスローガンは、そのような瀬口社長の思いと使命感がこめられている。

3Dプリントの様子
建築現場で使われるものと同じプリンターによる3Dプリントの様子。実際の家づくりの際も、デジタル設計データに基づいて製造現場で直接壁をプリントし組み立てる「オンサイト型」の方法を採る(写真撮影/中川千代美)
3Dプリントの様子
職人の腕に左右されず、短い工期で品質の再現度が高い家づくりが可能になる。さらに、人の手では難しい曲面や一体型家具などの造形も可能(写真撮影/中川千代美)

研究の積み重ねにより強度面の課題を解決

今回のモデルハウス「model B」で注目すべきポイントの1つが素材だ。

今、日本で開発されている3Dプリンター住宅はセメントを主原料としたもののみ。しかしサステナビリティの観点から、再生可能な「土」を主原料とする製造にこだわった。これは、国内初の技術だという。

2024年につくられたプロトタイプモデルハウス「model A」では、強度の関係で土・もみがら、藁(わら)、石灰などその他の自然素材に10%程度セメントを配合したものだった。

しかし今回の「model B」では、研究の積み重ねにより強度面の課題を解決し、セメントを配合せず自然素材のみで土壁を構成することに成功した。土・砂成分が約65%、残りは消石灰を含む結合材や自然繊維。強度は従来のものの約5倍で、収縮ひび割れも起きにくい仕様となった。

地球上で豊富に得られる自然素材を使うことで、製造時のCO2排出量の大幅な削減にもつながる。同社による100平米の住宅での試算では、RC住宅に比べて約50%、木造住宅よりも少ない排出量で建設が可能という数値結果が出ているという。

土壁
土壁には淡路島産の土を使用している。淡いクリーム色は土の色がそのまま現れたものだ。将来的にはその地域に合った土の活用、さらには建設残土問題への貢献も構想しているという(写真撮影/中川千代美)

とはいえ、「土だけだと水漏れは?」「壁に水分が染みてしまうのでは?」と不安になりそうだが、ここも技術面でクリアしている。独自開発の特殊なコーティングを施すことにより、水の浸入を防ぐことが可能に。記者会見の際には、実際に水を吹き付ける実験も行い、その耐水性が実証された。

実験
右半分がコーティングを施した箇所。水に濡れて色が濃くなっている左半分と比べ、色に変わりがなく、手で触れてみると水が染みていないことも感じられた(写真撮影/中川千代美)
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