廃れた休憩所が「予約困難なサウナリゾート」に変身のリアル。《東京・奥多摩》 売りは薪ストーブサウナと湧水の水風呂

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しかも、温泉を掘るよりもはるかに安価に作れるのもポイント。温泉の場合、せっかく多額をかけて掘削しても満足いく結果がでないことがあるのに比べると、サウナ設備で失敗することはほぼない。

「これまで“何もない”と言われていた地域に新しい目的地を作り、人を集めることができる可能性があるのがサウナなのです」

しかも、久田さんが目指しているのは北欧式のサウナではない。北欧式のサウナはコミュニケーション型で同行者などとの会話が目的。また、水風呂も日本とは違い、湖を利用したり、ごく小さなものだったりで日本ほど「整う」という部分に重点が置かれていない、とも。

それを日本の禅をモチーフにした新しい日本式サウナに変え、アピールしようとしているのだ。

「日本には火を使った護摩行という修行があり、水を使って心身を清める禊があり、精神を落ち着ける座禅があります。これをひとつの循環として楽しむ禅サウナを提唱、禅に関心のある欧米を中心にした人たちに訴求していきたいと考えています」

曹洞宗が日本を訪れる外国人が参禅できる寺院のリストを公開しているなど、瞑想、マインドフルネスブームの中、座禅を組むために日本を訪れる人は確実に増えている。そこにサウナを合体、他国ではできない体験として売り出そうというのである。

薪ストーブサウナに湧水を利用した水風呂が売り

こうして奥多摩の休憩所・柏屋は改装され、2025年7月6日に1日1組の宿「アースガーデンリゾート サウナイン東京奥多摩」として開業した。

改装後の外観
改装後の外観。ぱっと見ただけでは変化は分かりにくい(写真:ナイン提供)

かつての休憩所部分のうち、厨房部分はサウナ、トイレ、シャワーブース、屋内休憩室となり、客席だったテラスには水風呂、薪で沸かす露天風呂、デッキチェアが置かれた。

サウナは薪ストーブサウナで、薪の燃焼による香りやパチパチという燃える音、ゆらぐ炎が五感を刺激する。このあたりが都会では味わえないところだろう。

サウナ内部
サウナ内部。外の風景も楽しめるように作られている(写真:ナイン提供)

眼前には大丹波川が流れており、周囲には鬱蒼とした緑。休日などは釣り人が訪れることもあるが、夜になるとせせらぎの音しか聞こえない静かな空間だ。

デッキ
デッキから大丹波川を望む(写真:筆者撮影)
デッキの水風呂、露天風呂
デッキにも水風呂、露天風呂を用意した(写真:筆者撮影)
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