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アース製薬、万博「ユスリカ」駆除要請で脚光浴びた法人向けビジネス。実は上場以来20期連続で増収、食品工場で異物混入対策のコンサル需要拡大

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アース製薬は子会社のアース環境サービスで法人向けビジネスを手がけている(記者撮影)

連日15万人前後の来場者を集める大阪・関西万博。初夏に大きなトラブルとなったのが、蚊に似た小さな虫「ユスリカ」の群れだ。

ユスリカはシンボルの大屋根リングの柱や会場中心部の「静けさの森」などに多く発生。人の血を吸うことはないというが、多くの人が不快に感じていた。万博協会が設置した「ユスリカ等対策本部」の有識者委員会で委員長を務める平林公男・信州大学教授は「ユスリカ大量発生のピーク時には大屋根リングの上、3分の1ほどの範囲に何億匹と飛んでいた」と話す。

大阪・関西万博のユスリカ駆除要請で注目浴びる

そんな中で、吉村洋文・大阪府知事からユスリカ駆除の協力要請を名指しで受けて注目を集めたのが、殺虫剤(虫ケア用品)メーカー首位のアース製薬だ。同社では殺虫・忌避スプレーといった商品を無償提供し、虫が集まっているウォータープラザや水たまりなどの調査を実施してきた。

アース製薬は殺虫剤「アースレッド」や「ごきぶりホイホイ」などロングセラーを多数保有し、口腔ケアの「モンダミン」や「シュミテクト」も擁す。入浴剤大手のバスクリンも2012年に買収するなど、主に家庭用品のBtoC事業で有名な会社だ。

業績は好調だ。2025年中間期(1月~6月期)決算を発表した8月には、2025年度の通期見通しを早くも上方修正した。引き上げ後の売上高は前期比5%増の1780億円、営業利益は同24%増の80億円を見通す。上方修正の主な要因は虫ケア用品の価格改定や、入浴剤など日用品のSKU(商品のアイテム数)3割削減などの構造改革効果だ。

一方、家庭用品の陰で目立たないが、近年伸びているのが、法人向けのBtoB事業「総合環境衛生」だ。子会社のアース環境サービスが主に手がけており、連結売上高に占める割合は約2割。同事業は2005年の株式上場以来、20期連続で増収を続ける成長部門で、前2024年12月期の売上高営業利益率は家庭用品事業を上回っている。

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