
自由な恋愛――かつてそれが許されなかった時代を思えば、誰もが自由に恋愛ができる環境というのは素晴らしい世界のように見えますが、自由な恋愛はしばしばとても不平等な結果を生みます。
なぜなら、全員が恋愛力を持っているとは限らないからです。私は「恋愛強者3割の法則」と名付けていますが、恋愛力のある割合は今も昔もずっと3割程度しかいません。無論、3割しか恋愛できないとまでは言いませんが、「自由に恋愛していいよ」と言われても、必ずしも全員それが可能になるわけではありません。
さらに、恋愛が自由市場になったことで、恋愛力だけではなく、前提としての経済力が必要となってしまいました。いわば、自由な恋愛の世界の扉をあけるためには、まず「お金が必要」になっているのです。
結婚とお金の深い関係
当連載でもしばしば「結婚とはお金の問題である」と書いてきましたが、そのたびに「結婚できないのは金の問題ではない」と反論してくる人がいます。何も「結婚できるかどうかはすべてお金で決まる」とまでは申しませんが、結果として「その可否をお金が大きく左右している」こともまた事実です。しかも、それは直近10年で急激に顕在化しました。
国民生活基礎調査から、40代までの世帯主で児童のいる世帯(18歳未満の子のいる世帯)の世帯数を世帯年収別に2003年~2013年~2023年と10年おきに比較したものが以下のグラフです。

一目瞭然ですが、2003年から2013年にかけては、世帯年収別の分布はほぼ一緒で変化はありません。が、それが2023年になると、世帯年収300万円台から500万円台の中間層においてのみ世帯数が激減していることがわかります。
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