逆に、世帯年収700万円以上の経済的上位層では、これだけ婚姻減、出生減という中においてもその世帯数は全く減っていません。つまり、日本の婚姻減と出生減は中間層が結婚して子どもを持てなくなったということに尽きるわけです。
日本の場合は、出生数は完全に婚姻数と比例します。よって、これは年収中間層が結婚できなかったことが、今の少子化を作り出したと言っても過言ではありません。そして、ここで大事な点は、貧困層だけではなく、人口のもっとも多い中間層が結婚できなくなってしまったことこそが深刻な原因なのです。
男女の年齢別の初婚率(人口千対)もまったく同じ推移を辿っています。男女ともに25〜29歳の初婚率で比較すれば、2003年から2013年にかけての10年間では、男性▲2.6、女性▲1.4と減少幅は微々たるものだったのに対し、2013年から2023年にかけては、男性▲16.4、女性▲20.2と大幅な減少となっています。
中間層の婚姻が減っているとは、つまるところ、20~30代の若い中間層が結婚できなくなっていることになるのです。
「お金がなければ恋愛さえもできない」
そうした現象の背景にはもっと深刻な事態が隠れています。もはや「お金がなければ結婚できない」だけではなく、「お金がなければ恋愛さえもできない」という事態に突入しているからです。
私のラボで調査した個人年収別の恋愛経験人数の推移(対象は20〜30代未既婚男女)を2016年と2024年とで比較したものが以下です。

まず、未婚男性を見ると、2016年時点ではまだ年収の多寡で恋愛人数の差はほとんどありませんでした。それが、2024年になると、きれいに年収が少なければ少ないほど恋愛人数も減ります。2016年比で恋愛人数が上回るのは年収600万円以上だけです。
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